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平成16年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE 1 2 3 4 5  6 7 [8] 9
問 次の文を読み,107〜108の問題に答えよ。
52歳,女性。以下の検査所見を認めた。AST(GOT)107 IU/l (5-37), ALT(GPT)
25 IU/l (6-43), 乳酸脱水素酵素(LDH) 522 IU/l (119-221), LDHアイソザイ
ム:LDH1
16.0%, LDH2
36.4%, LDH3
19.0%, LDH4
10.6%, LDH5
18.0%であった。

107. 推定されるのはどれか。

解答形式:正答 →
a骨格筋障害
b肝細胞障害
c心筋障害
d溶血
e尿細管障害


解説;AST高値,ALTの増加はなく,LDH増加から推定される障害臓器は心筋,骨格筋,赤血球である。このうちLDH5が優位となるのは骨格筋障害。
(107,108 関連問題)
 

108. この症例の血清脂質検査は総コレステロール(TC)330 mg/dl,トリグリセライド(TG) 157 mg/dl,遊離脂肪酸(FFA)92μEq/l(170-590)であった。推定されるのはどれか。

解答形式:正答 →
a糖尿病
b肝硬変
c肥満
d褐色細胞腫
e甲状腺機能低下症

解説;二次性高脂血症を来す疾患のうち遊離脂肪酸が低下するものを選択する。遊離脂肪酸はリポ蛋白リパーゼ,ホルモン感受性リパーゼに中性脂肪が水解され血中に動員される。カテコラミン,ACTH,MSH,グルカゴン,セロトニン,甲状腺ホルモン,GH,副腎皮質ホルモンなどはホルモン感受性リパーゼ活性化作用があり,遊離脂肪酸は上昇する。このため,甲状腺ホルモン分泌低下で遊離脂肪酸は低値となる。肝硬変は肝でのVLDL産生低下により高脂血症を呈する可能性が低い。設問01から骨格筋障害を伴い高脂血症となる疾患から考えれば遊離脂肪酸についての知識がなくても解決できる問題であるが,是非覚えてほしい。
(107,108 関連問題)
 
問 次の文を読み,109〜110の問題に答えよ。
45歳,男性。C型肝炎の治療で外来通院中。今回,患者が土曜日に来院したため,一部の検査が次週に延期となり,分離された血清を冷蔵庫保存した。月曜日にこの血清を冷蔵庫から取り出して観察したところ,白っぽい沈殿物を認めた。

109. 沈殿物の成分として考えられるものはどれか。

解答形式:正答 →
aアルブミン
bカイロミクロン
cフィブリノーゲン
d血清アミロイドA蛋白
e免疫グロブリン


正解;寒冷沈殿性を示す蛋白にはフィブリノーゲンと免疫グロブリンがある。本例は血清であること、C型肝炎では免疫グロブリン濃度の上昇があり、この現象を起こしやすいことから想起は容易。
(109,110 関連問題)
 

110. 本症のほかにこのような現象が見られる疾患はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aSLE
bネフローゼ症候群
c急性膵炎
d成人T細胞白血病
e多発性骨髄腫

解説;ポリクローナル、モノクローナルいずれでもBリンパ球が活性化し、免疫グロブリン産生が高まる病態で見られる。
(109,110 関連問題)
 

111. 検体を採取後,未処理のまま6時間室温に放置した。測定値の変化について正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a血清尿素窒素増加
b血清グルコース低下
c血清カリウム増加
d血中アンモニア低下
eプロトロンビン時間延長


解説;尿素窒素は保存による影響は少ない。グルコースは低下する。室温保存ではカリウムの増加が認められることは少ない。アンモニアは著増,プロトロンビン時間も著明な延長が認められる。
 

112. 食後に採血すると空腹時に比して高値となるのはどれか。

解答形式:正答 →
a糖化アルブミン
bLDLコレステロール
c中性脂肪
d遊離脂肪酸
e無機リン


解説;糖化アルブミン,HbA1c,コレステロール(LDL,HDL)は食事の影響は受けない。中性脂肪はカイロミクロンの増加のため食後8時間程度は高値となる。遊離脂肪酸は中性脂肪と相補的に,無機リンは血糖と相補的に低下する。
 

113. 成人で性差が認められるのはどれか。

解答形式:正答 →
a網赤血球比率
b血小板数
c好酸球比率
d平均赤血球ヘモグロビン濃度
eヘマトクリット値


解説;血算値における性差は成人(思春期〜閉経期)の赤血球系計数値(RBC,Hb,Hct)に認められ,Pltや白血球分画やWintrobe赤血球指数(MCV,MCHC等)には認められない。
 

114. 成人の白血球分画データとして異常値はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a好中球 60%
bリンパ球 65%
c好酸球 5%
d好塩基球 5%
e単球 5%


解説;成人の白血球分画比率の目安は、好中球55%、リンパ球35%、好酸球4%、好塩基球1%、単球5%である。乳幼児では、好中球とリンパ球の比率が逆転する。白血球分画は医師国家試験などでも基準範囲がしめされないので、大体のバランスは把握しておく必要がある。
 

115. 胆汁うっ滞時に上昇する血清酵素はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aコリンエステラーゼ(ChE)
bアルカリホスファターゼ(ALP)
cAST(GOT)
dγ-GTP(γ-GT)
eビリルビン


解説;ALP,γGT,ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)は胆道系酵素と呼ばれ,いずれも毛細胆管の微絨毛に存在する。血清コリンエステラーゼは肝細胞で産生される酵素。ビリルビンは胆汁うっ滞で上昇するが酵素ではない。
 

116. 血清K 5.9 mEq/lで推定される疾患はどれか。

解答形式:正答 →
a下痢
bBartter症候群
cCushing症候群
d中枢性尿崩症
e副腎機能不全症


解説;高K血症は@K負荷の増加,AK排泄低下,B細胞内から細胞外への移行,C偽性高K血症に分類される。副腎機能不全では高K血症となる。
 

117. 診断のために血清蛋白分画検査が必須である病態はどれか。

解答形式:正答 →
a急性炎症
bネフローゼ症候群
c肝硬変症
dモノクローナル蛋白血症
e高コレステロール血症

解説;a〜cは特徴的な蛋白分画パターンを示すが診断にはより有用な検査がある。モノクローナル蛋白の検出は電気泳動法にもとづく検査が必須となる。
 

118. B型肝炎の活動性が高いことを示す所見はどれか。

解答形式:正答 →
aHBs抗原陽性
bHBs抗体陽性
cHBc抗体陽性
dHBe抗原陽性
eHBe抗体陽性


解説;活動性に関連するのはHBe抗原。HBs抗体は感染防御免疫獲得を意味する。
 

119. 遺伝子検査(DNA診断)による病原体検出が有用なのはどれか。

解答形式:正答 →
a緑膿菌
bカンジダ
c結核菌
dVRE
eインフルエンザウイルス


解説;PCR法などの遺伝子検査(DNA診断)の適応となる感染症の病原微生物および病原体としては,以下のものがある.@培養が不可あるいは困難な場合(ニューモシスチス・カリーニ),A培養に長い時間を要したり,培養手技が複雑(結核菌およびその他の抗酸菌,クラミジア,リケッチア,レプトスピラ,ウイルスなど),B病原因子をコードする遺伝子や耐性遺伝子の検出(MR
SAのmecA遺伝子など),C保菌者(キャリア)を検索する場合(肝炎ウイルス,HIVなど)などである。インフルエンザウイルスに対しては,鼻腔・咽頭粘液の抗原検査(イムノクロマトグラフィー)による迅速診断キットがある.
また,カンジダなどの真在性真菌感染に対しては,血液や髄液の抗原検査がよく用いられる.なおVREの場合,遺伝子検査は耐性遺伝子検出のためであって,病原体検出が目的ではない.
 

120
微生物検査用検体で冷蔵保存してはならないのはどれか。

解答形式:正答 →
a膿性の喀痰
b血液培養のカルチャーボトル
c腸チフスを疑う患者の便
d混濁した尿
eウイルス検査用の咽頭ぬぐい液の入った保存液


解説;検体中の微生物は,検体の保存状態により増殖したり,死滅したりするものが多いため,検体の保存には注意が必要である。細菌検査用検体(とくに常在菌の混入が避けられない喀痰や尿など)の保存は,冷蔵(4℃)が一般的である。たとえば,尿は細菌にとって好適な培養基である。室温では細菌は盛んに増殖するため,冷蔵するのが望ましい。ただし,髄膜炎菌,淋菌による感染症が疑われる場合は,これらの菌は寒冷に弱い菌,死滅しやすい菌なので冷蔵保存してはならない。また,赤痢アメーバの栄養型は低温に弱く,時間が経過したり,低温状態に放置したりするとアメーバの運動性が低下し,検出が困難になる。血液・髄液は孵卵器などに入れるのが原則,孵卵器のない場合は室温保存。ウイルスは所定の容器に入れ冷蔵あるいは冷凍保存が原則である。
 

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