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平成16年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE 1 2 3 4 5  [6] 7 8 9

76.  血清Na 128 mEq/lで推定される疾患はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aネフローゼ症候群
bCushing症候群
c甲状腺機能亢進症
d中枢性尿崩症
eAddison病


解説;低Na血症は@血症浸透圧上昇による(高血糖,高浸透圧物質の増加・存在),A血症浸透圧低下(下痢・嘔吐など低張性脱水,浮腫性疾患,内分泌性疾患,SIADH,など),B見かけ上の低Na血症(高脂血症,高蛋白血症)に分類される。
 

77.  高血糖となる疾患はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a副甲状腺機能亢進症
b腎不全
cグルカゴノーマ
d甲状腺機能低下症
e肝硬変


解説;二次性高血糖を来す疾患。慢性肝炎,肝硬変,膵炎など,内分泌疾患(甲状腺機能亢進症,グルカゴノーマ,褐色細胞腫など)がある。甲状腺機能低下症は空腹時低血糖となる。
 

78.  大腸癌が疑われる患者で検査すべき腫瘍マーカーはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aCEA
bAFP
cCA19-9
dSCC
ePSA


解説;CEA、CA19-9は大腸癌に特異的ではないが、腺癌で陽性率が高い。AFPは肝細胞癌、SCC は扁平上皮癌、PSAは前立腺癌のマーカーである。
 

79.  炎症で血清濃度が増加する蛋白はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aトランスフェリン
bトランスサイレチン(プレアルブミン)
cハプトグロビン
d補体第3因子(C3)
eアルブミン


解説;トランスサイレチン,アルブミン,トランスフェリンは炎症で血清濃度が低下する。ハプトグロビン、セルロプラスミン、C3、α1抗トリプシン、α1酸性糖蛋白などは増加する。
 

80.  病態と関連した検査の組合せで誤りはどれか。

解答形式:正答 →
a肺カンジダ症 ――――― β-D-グルカン
b急性糸球体腎炎 ―――― ASO(anti-streptolysin O)
cツツガ虫病 ―――――― Paul Bunnel反応
dマイコプラズマ肺炎 ―― 寒冷凝集反応
eグラム陰性桿菌敗血症 ― エンドトキシン


解説;Paul Bunnel反応はEBウイルス感染症で検査される。ツツガ虫病では
Weil-Felix反応が陽性となる。

 

81.  SLEに特異性の高い検査所見はどれか。

解答形式:正答 →
aループスアンチコアグラント陽性
b抗核抗体検査でのびまん性染色型
c抗一本鎖DNA抗体陽性
d抗RNP抗体陽性
e抗Sm抗体陽性


解説;抗RNP抗体はMCTDに特異性が高い。ほかはSLEで陽性になりうるが、特異性の最も高いのは抗Sm抗体(ただし陽性率は低い)である。
 

82.  感染性腸炎患者の便の性状と推定される微生物で正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a米のとぎ汁様便 ―――― コレラ菌
b白色便 ―――――――― 病原大腸菌(ベロ毒素産生)
cいちごゼリー状の便 ―― 赤痢アメーバ
d脂肪性下痢便 ――――― クリプトスポリジウム
e膿粘血便 ――――――― ロタウイルス


解説;腸管感染症を疑う患者の便を肉眼でよく観察することは,診断上重要であり,便の性状から起炎微生物(病原体)を推定することができる場合がある。コレラは米のとぎ汁様,ロタウイルス胃腸炎では白色便が見られ,赤痢アメーバー(栄養型)ではいちごゼリー状の便(果実臭)となる。脂肪性下痢はランブル鞭毛虫,膿粘血便〜粘血便はカンピロバクターや赤痢で見られる。腸炎ビブリオやクリプトスポリジウムでは,黄褐色の腐敗臭を伴う水様便。腸管出血性大腸菌(O157など)では,新鮮血様の水様便となる。
 

83.  長期尿道カテーテル留置患者の尿路感染の起因菌として,頻度がもっとも高
い菌はどれか。

解答形式:正答 →
aバクテロイデス・フラジリス
b大腸菌
cA群レンサ球菌
dクラミジア・トラコマチス
eジフテリア菌


解説;複雑性尿路感染とは,尿路の解剖学的問題(尿路狭窄やカテーテルなどの異物)や,機能的問題(排尿障害,残尿),糖尿病などの基礎疾患を持つ患者の尿路感染症を指す。複雑性尿路感染症の起因菌としては,腸内細菌属(大腸菌,プロテウス・ミラビリス),ブドウ糖非発酵菌(緑膿菌,セラチア菌)などのグラム陰性桿菌が中心であるが,この他,腸球菌,ブドウ球菌,さらには嫌気性菌も問題になりうる。その他,カンジダやコリネバクテリウムもしばしばみられるが,定着菌との区別が難しい。起因菌の頻度としては,複雑性尿路感染においても大腸菌が4割程度と一番多い。ついで腸球菌や緑膿菌,プロテウスなどであるが,これらは施設によりその頻度は異なっている。
 

84.  正しいのはどれか。

解答形式:正答 →
aマイコプラズマ ―― B-CYE培地
b赤痢菌 ―――――― サブロー培地
cレジオネラ ―――― 血液寒天培地
d結核菌 ―――――― 小川培地
eクラミジア――――― BTB培地


解説;培養に特殊な培地を用いる必要がある細菌については,検体提出時に,その菌による感染の可能性を記載しないかぎり,その菌が培養・検出されることはない。レジオネラはB-CYE培地,マイコプラズマはPPLO培地を用いる。クラミジアは人工培地での培養は不可能である。これらはいずれも,通常使用される血液寒天培地などでは培養できない.BTB培地はグラム陰性菌用の培地で,乳糖分解能のある大腸菌などでは,コロニー周囲が黄色に変色する.SS培地は,赤痢菌(Shigella),サルモネラ菌用の培地。クロストリジウムなどの嫌気性菌用の培地としてはPEA寒天培地などが用いられる。サブロー(Sabouraud)寒天培地は,真菌用の培地。
 

85.  嫌気性菌が重要な起因菌となる感染症はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a単純性尿路感染症
b腸管手術後の化膿性腹膜炎
c高齢者の化膿性髄膜炎
d旅行者下痢症
e高齢者の嚥下性肺炎


解説;嫌気性菌感染としては,腸管手術後の腹膜炎の起炎菌としてバクテロイデス,抗菌薬投与後の偽膜性腸炎の起炎菌としてデフィシル菌,嚥下性肺炎の起炎菌として口腔内の嫌気性菌(ペプトストレプトコッカス)などがある。嫌気性菌とは、無酸素の環境においてのみ増殖できる菌群であり、微生物学的にいう偏性嫌気性菌を、臨床的には嫌気性菌と呼んでいる。嫌気性菌には、芽胞形成能を持つクロシトリジウム属や、芽胞を有さないバクテロイデス、ペプトストレプトコッカスやプロピオニバクテリウム・アクネス(皮膚の常在菌で毛根部に存在)などがある。クロストリジウムによる感染症としては、Clostridium tetaniによる破傷風、C.perfringensによるガス壊疽、C.boturinumによるボツリヌス症、C. difficileによる偽膜性腸炎がある。バクテロイデス群は腸内細菌として最も多い常在菌であり、消化管穿孔などで腹膜炎や横隔膜下膿瘍などの原因となる(いわゆる内因性感染)。
 

86.  68歳,男性。健康診断で血算値異常を指摘され来院。血液検査所見:RBC 3.32×106/μl,Hb 9.7g/dl,Ht 32.2%,WBC 51.2×103/μl(好中球8%,好酸球1%,好塩基球0%,単球1%,リンパ球90%),Plt 153×103/μl。リンパ球の約80%は成熟B細胞であった。 本例で認めら
れる検査所見はどれか。

解答形式:正答 →
a巨大血小板
bCD4/CD8比上昇
c好中球左方移動
d花細胞の出現
e血清クームス試験陽性


解説;リンパ球増多症の鑑別を問う。比較的高齢者であり、臨床症状に乏しく(健康診断で指摘)、B細胞が著増しており、慢性リンパ性白血病(CLL)と考えられる。CLLでは自己免疫性溶血性貧血を合併することがあり、その場合クームス試験陽性となる。
 

87.  宮崎県出身の55歳男性。皮疹とリンパ節の腫脹に気付き受診した。血液検査所見: RBC 2.89×106/μl,Hb 9.1g/dl,Ht 27.3%,WBC 13.2×103/μl,Plt149×103/μl。末梢白血球の主体は写真(別紙 No.15)のような細胞であった。血清LDH高値と高カルシウム血症を認めた。本例で追加すべき検査はどれか。

(別紙 No.15)

解答形式:正答 →
aEBウイルス抗体価
b染色体検査
cクームス試験
dHTLV-1抗体価
e血清免疫電気泳動


解説;宮崎県出身で白血球増加と貧血、皮膚症状(紅皮症)、リンパ節腫大,血清LDH上昇,高カルシウム血症を認め、末梢血液像では花弁様の核を有するリンパ球様細胞を認める。成人T細胞白血病(ATL)を疑い、まずHTLV-1抗体価を調べる。
 

88.  75歳,男性。肺癌多発転移の末期状態で入院中。昨日朝より熱発し、敗血症を疑われている。本日朝の検査で、白血球数12.0×103/μl、ヘモグロビン 8.9g/dl、 血小板数 28.0×103/μl 、CRPは15 mg/dlと高値、赤沈は10 mm/hrであった。正しい解釈はどれか。

解答形式:正答 →
a貧血があって、赤沈が遅延している可能性がある。
bDICがあって、赤沈が遅延している可能性がある。
cこのサンプリング時期では、赤沈はまだ亢進していない。
dCRPは、敗血症以外の病態でこれほどの高値になっている。
eCRPは、測定上の要因で偽高値になっていると考えられる。


解説;赤沈と炎症マーカーの乖離の原因を問うている。貧血は赤沈亢進に働く。赤沈亢進にもっとも寄与するフィブリノーゲンは、それ自体炎症マーカーであり、感染症で増加するはずであるが、DICがあって消費が大になると減少に転ずる。本例では血小板数も減少しており、赤沈の遅延とあわせDICが疑われる。赤沈の動きはCRPより遅いが、このタイミングでは亢進しているはずである。CRPのこのような高値は感染症に由来するものと考えるのが妥当であり、検査過誤の可能性は低い。
 

89.  23歳,女性。未婚。生来健康。海外渡航暦なし。複数の異性との性的交渉なし。献血目的で採血され、種々検索したところ梅毒血清反応(ガラス板)が陽性、赤血球凝集法(TPHA)によるトレポネーマ抗原に対する抗体は陰性であった。正しい対処はどれか。

解答形式:正答 →
a梅毒感染の可能性が高いと本人に通知する。
b抗体検査の確認法であるFTA-ABS法を追加する。
c抗dsDNA抗体検査を追加する。
d抗カルジオリピン抗体検査を追加する。
eよくある偽陽性として放置する。


解説;状況から梅毒感染よりは生物学的偽陽性の可能性が高い。年齢的にもまずSLEを否定するための検査の選択が妥当である。本例では抗カルジオリピン抗体も陽性になる可能性が高い。厳密にはβ2GPI依存性抗カルジオリピン抗体検査を行い自己免疫疾患を推測する。FTA-ABS法はTPHA法の確認として使われる。
 

90.  45歳。男性。会社員。生来健康。ちょうど一か月前に東南アジアに出張し、現地女性と性的交渉をもった。帰国後、HIV抗体の検査を希望して来院した。症状、理学的所見に特記すべきことなし。検査結果は粒子凝集法で陽性、酵素免疫測定法ではグレイゾーンであった。追加する検査として適切なものはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aHIV p24抗原
bHIV-DNAのPCR
cHIV抗体のウエスタンブロット
dTリンパ球表面マーカー
e胸部X線撮影


解説;抗体の特異性の確認にウエスタンブロット法は必要。感染の判定には、この時期では抗体の産生が充分でないこともあり、ウイルス蛋白(p24)の検出、ウイルス遺伝子RNAの検出を試みる必要がある。
 

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