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平成14年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE 1 2 3 4 [5]  6 7 8 9

61.  真空採血器を用いた静脈採血について正しいのはどれか。

解答形式:正答 →
a肘窩の静脈では内側を穿刺する方が合併症が少ない。
b採血針はゲージ番号が大きいものほどスムーズに採血できる。
c凝固検査用試験管は2本目以降に採取する。
d血液採取後は採血管を装着したままで駆血帯を外す。
e採血終了後は肘関節を屈曲して圧迫止血する。


解説;肘窩静脈は内側ほど動脈穿刺,神経損傷などの合併症が多い。ゲージ番号の大きい細い針は真空採血器では血液凝固,溶血などの障害が起きやすい。22G迄の針が利用できない場合注射器で採血すべきである。穿刺後1本目の試験管には組織液が流入するため凝固しやすく,凝固検査用には不適であり,正しい結果を得るためには2本目以降に採取する(two syringe technique)。穿刺終了後の採血管内圧は駆血された静脈圧に等しい。採血管を装着したまま駆血帯を外すと試験管内容物が静脈内に逆流してしまう。危険な行為であり禁忌である。肘関節を屈曲させると静脈圧が上昇し止血しにくくなるので,肘は伸ばしたまま圧迫する。
 

62.  感度が高く特異度が低い診断的検査について正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a無疾患者で偽陽性となる比率は少ない。
b有疾患者の見逃しが少ない。
c陰性結果での除外診断に有用である。
d予後の良い病態のスクリーニングに向く。
e二次検査の有用性が低い場合のスクリーニングに向く。


解説;感度が高く,特異度が低い検査は有疾患者での見逃しは少ないが無疾患者での偽陽性が多い。したがって,陽性結果より陰性結果で疾患を否定するのに役立つ。(Sensitivity −Rule outなのでSnOutスナウトと覚える。逆に特異度が高い検査は存在診断に有効なのでSentivitiy−rule in;SpInと覚える)。本題のような特性の検査をスクリーニング検査として用いることが許されるのは予後が悪く,見逃しが死に繋がるような病態か,スクリーニング陽性者に対する有効な二次検査がある場合に限られる。
 

63.  尿試験紙による尿定性検査所見と病態について正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a尿蛋白陽性 ――― Bence Jones蛋白尿
b尿潜血陽性 ――― ミオグロビン尿
c亜硝酸塩陽性 ―― 肝性昏睡
dケトン体陽性 ―― 呼吸性アシドーシス
e白血球陽性 ――― 腎盂腎炎


解説;尿蛋白試験紙は主としてアルブミンと反応し,その他の蛋白は検出しがたい。潜血反応試験紙はヘモグロビン尿,ミオグロビン尿のスクリーニングに用いることができる。亜硝酸塩試験紙は尿路感染症に対する特異度の高い検査である。一方,白血球試験紙は腎盂腎炎を含む尿路感染症に感度が高いが特異度は低い。呼吸性アシドーシスではケトン体が陽性となることはない。
 

64.  尿沈渣所見と病態について正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a変形赤血球 ―――――― 尿路上皮癌
b白血球円柱 ―――――― ループス腎炎
c幅広円柱 ――――――― 慢性腎不全
d卵円型脂肪体 ――――― 前立腺マッサージ後
e核内封入体細胞 ―――― クラミジア尿道炎


解説;変形赤血球は腎糸球体性出血時に認められる。白血球円柱は腎盂腎炎など腎実質の炎症性疾患で認められる。間質性腎炎やループス腎炎では通常の慢性糸球体腎炎に比して高頻度に認められる。幅広円柱は尿細管腔の拡大を意味し,腎機能の荒廃時に認められる。卵円型脂肪体はネフローゼ症候群に,核内封入体含有細胞はヘルペスウイルス感染症に認められる。
 

65.  汎血球減少症を来さない疾患はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a巨赤芽球性貧血
b赤芽球癆
c骨髄異形成症候群
d特発性血小板減少性紫斑病
e再生不良性貧血


解説;骨髄異形成症候群と再生不良性貧血は汎血球減少症をみたときまず最初に考えるべき疾患である。巨赤芽球性貧血は、DNA合成障害による無効造血を特徴とする。高度の巨赤芽球性貧血では、赤芽球のみならず、顆粒球系,血小板系の成熟障害も著明となり、減少傾向を示す。赤芽球癆は赤血球産生のみ低下し、白血球数、血小板数は正常である。特発性血小板減少性紫斑病は血小板減少に加え溶血性貧血を伴うが,白血球は増加することが多い。
 

66.  網赤血球比率の上昇を示す疾患はどれか。2つ選べ 。

解答形式:正答 →
a溶血性貧血
b赤芽球癆
c腎性貧血
d再生不良性貧血
e急性出血後


解説;網赤血球比率は、骨髄での赤血球産生を反映する検査である。赤血球
産生低下を原因とする赤芽球癆や再生不良性貧血では、網赤血球の減少は特徴的所見である。一方、末梢での赤血球喪失や破壊が亢進する溶血性貧血や急性出血後では、代償性の赤血球産生亢進によって網赤血球比率は上昇する。腎性貧血では赤芽球産生の低下が主な因子であり,網赤血球の上昇は認めない。
 

67.  迅速な対応が必要な血算値はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a白血球数 ―――――― 12.3×103/μl
b赤血球数 ―――――― 3.1×106/μl
cヘモグロビン濃度 ―― 3.8 g/dl
dヘマトクリット値 ―― 0.33
e血小板数 ―――――― 15×103/μl


解説;a.〜e.はすべて異常値である。その中でc.は重篤な貧血で、e.の高度
血小板減少とともに緊急対応が必要になる。血小板は,20×1

03/μl以下になる
と重篤な出血症状をきたすことがあり、血小板輸血などが必要となる。

 

68.  末梢血T細胞のCD4/CD8比の上昇を認める疾患はどれか。

解答形式:正答 →
a伝染性単核球症
b多発性骨髄腫
c成人T細胞白血病
d慢性骨髄性白血病
e後天性免疫不全症候群


解説;成人T細胞白血病(ATL)は、HTLV-1のCD4陽性T細胞への感染が原因であ
る。HTLV-1は感染T細胞を腫瘍性に増殖させるのでCD4/CD8比は著明に上昇する
。HIV感染による後天性免疫不全症候群(AIDS)では、感染T細胞の死滅によって
CD4/CD8比は低下する 多発性骨髄腫では,末梢血CD4陽性T細胞が著減する。C
D8陽性T細胞も減少するが、軽度である。伝染性単核球症では、異型リンパ球
の増加を認めるが、これらの異型細胞の大部分はCD8陽性のT細胞であるためCD
4/CD8比は低下する。
 

69.  止血凝固検査で異常を示す病態として正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a血小板数 ―――――――――――――― 血小板機能異常症
b出血時間 ―――――――――――――― 血小板減少症
cプロトロンビン時間 ――――――――― 線溶亢進症
d活性化部分トロンボプラスチン時間 ―― 内因系凝固異常症
e血清フィブリン分解産物(FDP) ――――― 血管性紫斑病


解説;出血時間は血小板の異常(減少症、機能異常症)と一部の血管性紫斑
病で延長する。APTTは狭義の内因系凝固因子と共通経路の凝固因子の欠乏や異
常で、PTは狭義の外因系凝固因子と共通経路の凝固因子の欠乏や異常で延長す
る。FDPは線溶亢進症で増加する。なおFDPは一次線溶、二次線溶のどちらの亢
進でも上昇するが、FDP-Dダイマーは二次線溶の亢進時のみ上昇する。
 

70.  血清クレアチニン0.7 mg/dl,尿素窒素 60 mg/dlのとき考えられる病態はど
れか。

解答形式:正答 →
a急性腎不全利尿期
b血液透析後
c筋ジストロフィー症
d妊娠後期
e上部消化管出血


解説;血清尿素窒素は糸球体濾過能のみではなく,腎外性の要因の影響を受
けて血清値が変動する。本例のように尿素窒素のみ単独で高値を呈するのは蛋
白負荷か体蛋白の異化が認められる場合である。蛋白負荷の代表が上部消化管
出血である。血清クレアチニンが正常であるから腎不全は認めない。妊娠時に
は尿素窒素は低下する。
 

71.  尿酸について正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a食事摂取により血中濃度は増加する。
b血清濃度が7.0 mg/dlを越えると過飽和状態となる。
c悪性腫瘍の化学療法時には血中に著増する。
dFanconi症候群では血中尿酸は増加する。
eフロセミド投与により尿中尿酸排泄は増加する。


解説;血中尿酸は内因性に合成されており,食事の影響はほとんどない。血
清濃度が7.0 mg/dlを超えると過飽和状態になり,析出の可能性がある。悪性
腫瘍の化学療法時など組織の急速な破壊時には15mg/dlを超える著明な高値を
呈することがある。Fanconi症候群では再吸収障害のため低尿酸血症を,フロ
セミド投与時には尿中排泄低下のため高尿酸血症を呈する。
 

72.  血清総ビリルビン3.0 mg/dl,直接ビリルビン0.3 mg/dlで考えられるのはど
れか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
aGilbert症候群
b肝内胆管閉塞
c溶血性貧血
dRotor症候群
e慢性肝炎活動期


解説;健常人の血中には直接ビリルビンより間接ビリルビンが多く存在する。
基準範囲は総ビリルビン 1.2mg/dl以下,直接ビリルビン 0.3mg/dl以下である。
このケースは間接ビリルビン優位の高ビリルビン血症を考える。体質性黄疸で
はCrigler-Najjar症候群とGilbert症候群が間接ビリルビン優位の増加。
 

73.  血清酵素で正しいのはどれか。

解答形式:正答 →
aアミラーゼ値の上昇は急性膵炎の重症度を反映する。
bコリンエステラーゼ活性は重症筋無力症で著減する。
c乳酸脱水素酵素(LDH)はアイソザイムにより半減期が異なる。
d骨破壊性腫瘍ではアルカリホスファターゼが高値となる。
eγGTP(γGT)は尿細管障害で高値となる。


解説;血清アミラーゼ値は急性膵炎で高値となるが,重症度とは一致しない
。血中に存在するコリンエステラーゼは赤血球由来。重症筋無力症は抗アセチ
ルコリンレセプター抗体によるもので、酵素活性に変化はない。LDはHとMサブ
ユニットから成るが,Mサブユニットだけで構成されるLD5は血中半減期が最も
短い。アルカリホスファターゼは造骨性疾患で高値となる。γ-GTは腎に多く
存在する酵素であるが,腎由来のγGTは尿中に排泄される。腎疾患でも血中γ
GTは上昇しない。
 

74.  LDL-コレステロールが高値となるのはどれか。

解答形式:正答 →
aα-リポ蛋白欠損症
bリポ蛋白リパーゼ欠損症
cコレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症
d肝性リパーゼ欠損症
eLDL受容体欠損症


解説;コレステロールを最も多く含むリポ蛋白分画はLDLである。VLDLからリ
ポ蛋白リパーゼの作用で代謝されたLDLが増加するのは,LDL受容体への取り込
みが低下した状態である。LDL受容体欠損症,LDLに含まれる主要リポ蛋白のア
ポリポ蛋白異常症で高コレステロール血症となる。αリポ蛋白欠損症はHDLが
低下・欠損するためHDL-コレステロールが著減する。リポ蛋白リパーゼ,肝性
リパーゼはトリグリセリド代謝酵素のため欠損すると高トリグリセリド血症と
なる。CETP欠損症はHDL-コレステロールの転送障害により高HDL-コレステ
ロール血症となる。LDLの代謝経路が理解できていれば容易な問題。
 

75.  二次性高脂血症をきたす疾患はどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a慢性肝炎
b糖尿病
c甲状腺機能亢進症
d原発性胆汁性肝硬変
e脳梗塞


解説;脂質代謝に影響する病態は@インスリン感受性の変化,A肝での脂質
(コレステロール,トリグリセリド)産生状態(亢進,低下),B脂質代謝酵
素(リポ蛋白リパーゼなど)の産生・活性の変化,C消耗性疾患や栄養状態の
変化,D胆汁うっ滞,などがあげられる。
 

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