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平成14年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE 1 [2] 3 4 5  6 7 8 9
16. 赤血球破砕症候群をきたす疾患はどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a再生不良性貧血
b発作性夜間血色素尿症
c特発性血小板減少性紫班病(ITP)
d血栓性血小板減少性紫班病(TTP)
e大動脈人工弁置換後


解説:赤血球破砕症候群をきたす疾患群として、細血管障害性溶血性貧血(TTP,HUS,DICなど)、心臓・大血管異常性破砕赤血球症などがある。
 
17. 脾摘が有効な疾患はどれか。
解答形式:正答 →
a再生不良性貧血
b赤芽球癆
c骨髄異形成症候群
d伝染性単核球症
e特発性血小板減少性紫斑病


解説:ITPの第一選択の治療法は副腎皮質ストロイドの投与であるが、これが無効であったり、副作用のために継続投与が不可能、あるいは少量でも血小板数が維持できない場合は脾摘の適応である。
 
18. 慢性特発性骨髄線維症について正しいものはどれか。
解答形式:正答 →
a血球は減少することも増加することもある。
b比較的若年者に多い。
c線維芽細胞が腫瘍性増殖を示す。
d第一選択の治療法は、副腎皮質ステロイドの投与である。
e第一選択の治療法は、脾摘である。


解説:慢性特発性骨髄線維症は中高齢者に多く、造血幹細胞の腫瘍性増殖に伴い、線維芽細胞が反応性増殖を示す。現在有効な治療法が確立されていないために、主として輸血などの保存的治療が行われる。
 
19. 脾腫がみられない疾患はどれか。
解答形式:正答 →
a再生不良性貧血
b真性赤血球増加(多血)症
c伝染性単核球症
d特発性門脈圧亢進症
e遺伝性球状赤血球症


解説: 再生不良性貧血で脾腫はみられない。
 
20. 慢性期の慢性骨髄性白血病について正しいのはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a著明な白血球増加が認められ、赤血球、血小板は減少している。
b好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアが高値となる。
c末梢血所見では白血病裂孔を認めない。
d骨髄移植が治癒の期待できる唯一の治療法である。
e無治療では 3-4 年で急性転化を起こし、急性白血病様の病態を示す。
 
解説:慢性骨髄性白血病(CML)では、白血球のみでなく赤血球、血小板もしばしば増加している。好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアは低値で、他の骨髄増殖性疾患との鑑別点となる。疾患の本質は、BCR-ABL融合遺伝子の形成であり、その遺伝子産物であるbcr-abl蛋白質を分子標的とした新しい薬剤であるイマチニブも臨床で使用され始めた。イマチニブは、インターフェロン、骨髄移植と共に治癒の期待できる治療法であり、骨髄移植に比べて治療関連死が少なく、副作用が少ないために急速にCML治療の第一選択薬となりつつある。
 
21. 急性骨髄性白血病の病型と検査の組み合わせで正しいのはどれか。
2つ選べ
解答形式:正答 →
aM0 − ペルオキシダーゼ反応陽性
bM1 − faggot細胞の出現
cM2 − 尿中リゾチーム値上昇
dM6 − PAS染色陽性
eM7 − CD41/CD61(GPIIb/IIIa)陽性


解説:M0はペルオキシダーゼ反応陰性で、極めて分化傾向の少ない白血病であるが、CD13,33などの顆粒球系マーカーが陽性である。faggot細胞が出現するのは、主にM3である。血中、尿中リゾチーム値上昇および非特異的エステラーゼ(α-naphthyl butylate)反応陽性は、単球性白血病(M4, M5)の特徴である。M7は巨核芽球性白血病であり、血小板と同様CD41/CD61(GPIIb/IIIa)が陽性である。M7はまた、ペルオキシダーゼ反応陰性であるが、電顕的血小板ペルオキシダーゼ反応が陽性である。PAS染色が陽性となるのは、赤白血病(M6)およびALLの一部である。
 
22. 骨髄異形性症候群(MDS)について正しいのはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a5q-単独の染色体異常を示す場合、予後良好である。
b種々の血球異常を起こす多クローン性疾患である。
c骨髄での無効造血が疾患の病態として重要である。
dしばしば肝脾腫を認める。
e血清ビタミンB12は高値であることが多い。



解説:MDSは種々の血球異常を起こす単クローン性の疾患で、骨髄での無効造血が病態として重要である。肝脾腫を認めたり、血清ビタミンB12が高値となるのは、慢性骨髄性白血病を代表とする骨髄増殖性疾患である。
 
23. 造血幹細胞移植後の急性GVHDの重症度の判定に用いられるのはどれか。
解答形式:正答 →
a血小板数
b下痢便の量
cGOT、GPT値
d血清クレアチニン値
e皮膚病変の広がり


解説:造血幹細胞移植後の急性GVHDにより傷害される主な臓器は、皮膚・腸管・肝臓であり、重症度はそれぞれ、皮膚病変の広がり、下痢便の量、ビリルビン値で評価する。
 
24. 造血幹細胞移植の合併症について、正しいものはどれか。
解答形式:正答 →
a一般にGrade II以上の急性GVHDは治療の対象である。
b一般に慢性GVHDは無治療で経過観察とする。
c血栓性細小血管症(thrombotic microangiopathy)に対し、血漿交換が有効である。
d肝静脈閉塞症 (VOD) に対し、血栓溶解療法が有効である。
eアデノウイルスによる出血性膀胱炎に対し、ガンシクロビルが有効である。


解説;慢性GVHDは、全身型で症状が明らかな場合に治療の対象となり、ステロイドや他の免疫抑制剤で治療する。造血幹細胞移植に合併する血栓性細小血管症(thrombotic microangiopathy)はTTPと同様の病態を示すが、通常血漿交換は無効である。 肝静脈閉塞症 (VOD) は、予後不良な移植早期合併症であり、有効な治療薬に乏しい。アデノウイルスによる出血性膀胱炎に対し、リバビリン(我が国では製造されていない)が有効であり、ガンシクロビルはサイトメガロウイルス感染症に有効である。
 
25. hairy cell leukemiaについて正しいのはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a白血病細胞に毛髪様の突起を多数認める。
bしばしば多彩な皮膚病変を伴なう。
c骨髄の線維化、汎血球減少を認めることが多い。
d白血病細胞はアルカリホスファターゼ反応陽性である。
e抗癌剤への反応性が悪く予後不良である。


解説:hairy cell leukemiaでは、白血病細胞に毛髪様の突起を多数認め、酸ホスファターゼ反応が陽性である。骨髄の線維化、汎血球減少を伴うことが多い。多彩な皮膚病変を伴ない抗癌剤への反応性が悪く予後不良なのは成人T細胞白血病である。
 
26. 次にあげるリンパ系腫瘍のうち、T 細胞性腫瘍はどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
aBurkittリンパ腫/白血病
b菌状息肉症
cMALTリンパ腫
dセザリー症候群
eマントル細胞リンパ腫


解説:悪性リンパ腫の組織分類として造血器腫瘍をまとめたWHO分類がある。従来の悪性リンパ腫という疾患はHodgkinリンパ腫と成熟型リンパ系腫瘍に分類され、後者はB細胞性腫瘍とT/NK細胞性腫瘍に大きく二分される。
 
27. 悪性リンパ腫について、誤りはどれか。
解答形式:正答 →
a成人T細胞白血病/リンパ腫の発症には、human T-cell leukemia virus
(HTLV) -1の関与が認められる。
bEpstein-Barrウイルスによる伝染性単核球症は、Hodgkinリンパ腫発症の危険因子である。
c腫瘍細胞の表面マーカー、染色体分析や遺伝子解析は、悪性リンパ腫の治療方針を決定する上で重要である。
dImmunoblastic lymphadenopathy (IBL) は、T細胞性腫瘍である。
e濾胞性リンパ腫からびまん性リンパ腫に組織学的転換をきたすことは、きわめてまれである。


解説:若年者Hodgkinリンパ腫ではEBVによる伝染性単核球症が発症の危険因子となる。濾胞性リンパ腫は、しばしば経過中にびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に組織学的転換をきたす。
 

28. 悪性リンパ腫について、正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a非Hodgkinリンパ腫の予後推定に有用な国際予後指標 (IPI: Inter national Prognostic Index) に含まれる因子は、年齢、Performance status、LDH値、臨床病期、節外病変の数の5項目である。
b若年者進行期Hodgkinリンパ腫における標準化学療法の第一選択は、nitrogen mustardを含むMOPP療法である。
c

CD20に対するキメラ抗体であるrituximabは、T細胞性リンパ腫に対する有効な治療薬である。

d若年者びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の再発患者で、化学療法で寛解が得られた場合は、自己造血幹細胞移植を含む大量化学療法のよい適応となる。
e肝臓に浸潤している胃原発のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫には、Helicobacter pyloriの除菌療法が有効である。


解説:IPIはほとんどすべての非Hodgkinリンパ腫の病型の予後を推定する上で重要である。Hodgkinリンパ腫に対する標準化学療法の第一選択はABVD療法で、nitrogen mustardは2次性癌のために特に若年者には避けるべき薬剤である。CD20はB細胞のマーカーであり、rituximabの標的となるが、T細胞性リンパ腫には通常CD20は発現せず、有効とは言えない。中等度悪性群の非Hodgkinリンパ腫に対する自己造血幹細胞移植のよい適応は、再発時の化学療法に対する感受性がある場合である。胃原発のMALTリンパ腫はHelicobacter pyloriとの関連があり、初期には除菌療法によって消退することがあるが、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の場合、進行期ではまず効果が期待できない。
 

29. 診断未確定のMタンパク血症(Monoclonal gammopathy of undetermined significance,MGUS)に合致するものはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a骨髄有核細胞中形質細胞5%
b20年の経過で約 20 %は、骨髄腫類縁疾患に進展する。
cM蛋白 7 g/dl
d高カルシウム血症
e多発骨融解病変


解説:MGUSは骨病変がなく、Mタンパク量が少なく貧血も軽度である。骨髄で形質細胞は10%以下であり、骨髄腫類縁疾患への進展は1年あたり約1%と報告されているので、20年の経過で約20%は骨髄腫類縁疾患に進展することになる。
 

30. アミロイドーシスについて正しいのはどれか。2つ選べ。

解答形式:正答 →
a多発性骨髄腫では、AL型アミロイドがみられる。
b罹患臓器の生検は、診断には必ずしも必要ではない。
c多発性骨髄腫の約半数で、アミロイドーシスの合併がみられる。
d心、腎、神経障害を呈している原発性アミロイドーシスは、造血幹細胞移植の適応である。
e一般に原発性アミロイドーシスでは、多発性骨髄腫より尿中Bence Jones蛋白の量は少ない。


解説:骨髄腫に伴うアミロイドは、免疫グロブリンLight chain由来のALアミロイドである。アミロイドは心・舌・骨格筋・腸管などに沈着する。診断に
は組織生検が必要で、HE染色でエオジン好性、コンゴ赤染色で橙色を呈する。
多発性骨髄腫の約10%にアミロイドーシスの合併がみられる。原発性アミロイドーシスでは臓器障害(心、腎、神経障害)を呈している症例、特に心臓障害のある症例は、移植合併症が多く適応にはならない。原発性アミロイドーシスでは多発性骨髄腫より尿中Bence Jones蛋白の出現量は一般的に少ない。
 
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