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平成16年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE [1] 2 3 4 5  6 7 8 9
1. 骨髄検査について正しいのはどれか。
解答形式 X(2) 正答 →
a溶血性貧血の鑑別診断に有用である。
b胸骨・腸骨は、ともに生検可能部位である。
c癌の骨髄転移では、癌細胞がしばしば集塊を形成する。
d再生不良性貧血の診断には骨髄穿刺で十分であり、生検は必須ではない。
e播種性血管内凝固(DIC)では、骨髄検査は禁忌である。


解説:溶血性貧血は骨髄検査のみでは確定診断は得られず、クームス試験な
ど種々の検査の必要がある。胸骨では生検はできない。再生不良性貧血では骨
髄生検は必須である。急性前骨髄性白血病は初診時大半がDICを合併するが、
骨髄穿刺は可能である。
 
2. 網赤血球が増加するのはどれか。2つ選べ。
解答形式 A正答 →
a溶血性貧血
b赤芽球癆
c 急性出血後
d抗癌剤投与1週間後
e再生不良性貧血



解説:網赤血球は、出血、溶血で増加し、造血が抑制された場合には減少す
る。抗癌剤投与1週間後は骨髄抑制が著しい。
 
3. 白血病の治療薬と副作用の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。
解答形式 X(2) 正答 →
aビンクリスチン − イレウス
bドキソルビシン − 口腔粘膜傷害
cメソトレキサート − 心毒性
dall- trans retinoic acid (ATRA) − 体液貯留(浮腫)
eL-アスパラギナーゼ − 出血性膀胱炎


解説;ビンクリスチンは末梢神経傷害により、しばしばイレウスを引き起こ
す。残りの抗癌剤と副作用の正しい組み合わせは、ドキソルビシン−心毒性、
メソトレキサート− 口腔粘膜傷害、L-アスパラギナーゼ−低フィブリノゲン
血症であり、APLの特異的な治療薬であるATRAは、体液貯留を引き起こす。出
血性膀胱炎は、シクロホスファミドの副作用としてよく知られている。
 
4. 病原微生物と血液疾患の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
aサイトメガロウイルス − 急性リンパ性白血病
bヘリコバクターピロリ − 胃MALTリンパ腫
cEBウイルス − 伝染性単核球症
dHIVウイルス − 成人T細胞白血病
eパルボウイルス − 血小板減少症


 


解説: サイトメガロウイルスは、骨髄移植後などの重篤な免疫不全状態で
間質性肺炎を引き起こす。EBウイルスは伝染性単核球症の原因である。ヘリコ
バクターピロリは胃MALTリンパ腫の原因であり、その一部は初期であればピロ
リ菌の除菌で治癒が期待できる。パルボウイルスB19は、急性赤芽球癆の原因
ウイルスである。
 
5. 末梢血中に赤芽球が出現している場合に考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a癌の骨髄転移
b慢性リンパ性白血病
c急性骨髄性白血病
d骨髄繊維症
e 多発性骨髄腫


解説;末梢血中に赤芽球が出現するのは、癌の骨髄転移のように骨髄と末梢
血の間のバリアが破壊される場合、または骨髄繊維症のように髄外造血が起こ
る場合である。極めて激しい溶血が起こり、これに対して骨髄での赤血球産生
が急速に起こった場合にも末梢血中に赤芽球が出現することがある。多発性骨
髄腫では骨自体が破壊されるが、末梢血中への赤芽球の出現はない。
 
6. リンパ節腫脹について正しいものはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
aウイルス感染では、可動性に富む
b結核性リンパ節炎では、圧痛に乏しい。
c悪性リンパ腫では、圧痛が強い。
d固形癌の転移では、弾力性に富む。
eVirchow のリンパ節腫脹は、腎尿路系の悪性腫瘍でみられる。


解説;悪性リンパ腫では、圧痛に乏しく弾力性に富むが、固形癌の転移では
弾力性、可動性に乏しい。Virchow のリンパ節(左鎖骨上窩、静脈角付近)腫
脹は、消化管の悪性腫瘍でみられる。
 
7. 輸血に関して誤りはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a血小板輸血不応の主な原因は、抗HLA抗体である。
b外科手術前の血小板数が 10 万以下の場合、血小板輸血を行う。
c新鮮凍結血漿の輸注は、主として凝固因子の補充目的で行われる。
d輸血後移植片対宿主病( GVHD )は血縁者からの輸血で起こりやすい。
e赤血球濃厚液、濃厚血小板液に対し、放射線照射を行ってはならない。


解説;外科手術前の予防的血小板輸血の適応は、血小板数が 5 万以下の場
合である。放射線照射は輸血後移植片対宿病の予防に有効である。
 
8. 誤りはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a血小板の寿命は8-10日である。
b点状出血は、血小板または血管壁の異常でみられる。
c皮下出血斑のうち、直径約 1 cm 以上のものを紫斑という。
d筋肉、関節内(深部)出血は、凝固因子の低下でみられる。
e紫斑は、圧迫により退色する。


解説;直径1-2mm程度の点状出血とそれ以上の斑状出血をあわせて紫斑とい
う。紅斑は圧迫により退色するが、紫斑は退色しない。
 
9.  咽頭痛を訴える出血傾向の強い患者に投与する鎮痛剤として適当なものは
どれか。

解答形式:正答 →
aアスピリン
bアセトアミノフェン
cプレドニゾロン
dコルヒチン
e酒石酸エルゴタミン


解説;アスピリンは血小板凝集を抑制し、出血傾向を助長するので禁忌であ
るが、アセトアミノフェンは血小板凝集抑制作用が少ないため比較的安全に投
与できる消炎鎮痛剤である。
 
10. ヘパリンの存在下で活性が上昇するものはどれか。
解答形式:正答 →
aトロンビン
bアンチトロンビンIII(ATIII)
cプロテインC
dプロテインS
eプラスミン
 
解説;トロンビンは活性化 X 因子により、プロトロンビンから、プラスミ
ンはプラスミノゲンアクチベーターにより、プラスミノゲンより生成する。プ
ロテインSはプロテインCの補酵素である。
 
11. 慢性疾患貧血(anemia of chronic disorders; ACD)について誤りはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a血清鉄値低下
b総鉄結合能低下
c骨髄鉄芽球比率の低下
d血清フェリチン値低下
e鉄剤が有効


解説:慢性疾患貧血(anemia of chronic disorders;ACD)に典型的な所見として、血清鉄の低下、総鉄結合能の低下、骨髄鉄芽球比率の低下などがある。フェリチンが低下する疾患は鉄欠乏性貧血である。治療は原病のコントロールが第一であり、一般に鉄剤は無効である。
 
12. 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)について誤りはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
aCoombs試験が陰性の場合、赤血球膜に抗体が結合せずに溶血する。
b温式AIHAでは、赤血球膜上のRhポリペプチドとバンド3蛋白が主要な自己抗原である。
cマクロファージが抗赤血球自己抗体結合赤血球を貪食する。
d球状赤血球が出現する。
e薬剤性AIHAに対する治療の第一選択は、副腎皮質ステロイドの投与である。
 
解説:Coombs試験陰性自己免疫性溶血性貧血とは抗赤血球抗体が結合してい
るにもかかわらず、Coombs試験では検出できないAIHAのことである。血管外溶
血の主な機序は、マクロファージが抗赤血球自己抗体(IgG)が結合した赤血球
をIgG-Fcレセプターを介して結合し貪食する事にある。その際赤血球が完全に
貪食されないと小球状赤血球として血液中に出現する。治療の第一選択は副腎
皮質ステロイドであるが、薬剤誘発性AIHAは、薬剤投与中止により速やかに改
善する。
 
 
13. 発作性夜間血色素尿症(PNH)について正しいのはどれか。
解答形式:正答 →
aglycosyl-phosphatidyl-inositol(GPI)-anchor型蛋白であるCD34やCD56
 が欠損する。
b後天性溶血性貧血であり、白血病に移行することはない。
cHam 試験やsugar-water試験は、通常陰性である。
d深部血栓症を合併することはまれである。
e再生不良性貧血の経過中に発症することがある。
 
解説:glycosyl-phosphatidyl-inositol(GPI)-anchorの生合成における最初のステップに関与する遺伝子(PIG-A)の変異によるGPIアンカー蛋白の後天的欠損が原因である。好中球アルカリホスファターゼ値は低値で、Ham試験、sugar-water試験が陽性である。CD34,CD56はGPIアンカーではない。血栓症を併発しやすく、再生不良性貧血-PNH 症候群の他に、白血病に移行することがある。
 
 
14. サラセミアについて正しいのはどれか。
解答形式:正答 →
a大球性貧血を呈する。
b黄色人種に発症頻度が高い。
c鉄剤が有効である。
dヘモグロビン合成異常症である。
e赤血球膜異常症である。
 
解説:地中海沿岸地域の代表的遺伝疾患である。グロビン鎖の合成障害が原因であり、小球性貧血のパターンを示すことより、鉄欠乏性貧血と誤って鉄剤を投与されると、鉄過剰症となるので注意を要する。
 
 
15. 寒冷凝集素症について正しいのはどれか。2つ選べ。
解答形式:正答 →
a自己抗体はIgMクラスに属し、補体結合性がある。
b自己抗体の認識抗原はP式血液型物質である。
c寒冷曝露後、血色素尿がみられる。
d副腎皮質ステロイドが奏功する。
e本症を合併する基礎疾患としては、マイコプラズマ肺炎、サイメガロウイルス感染症、リンパ増殖性疾患がある。
 解説:寒冷凝集素症の認識抗原がIi式血液型物質であるのに対し、発作性寒
冷血色素尿症の認識抗原はP式血液型物質であり、寒冷曝露後に血色素尿がみ
られる。

 
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