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平成14年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE 1 2 3 4 [5]
13.  60歳男性。健康診断で血液異常を指摘され来院。脾臓を5 cm 触知。Hb 19 g/dl、白血球 15000 (骨髄球 2 %、後骨髄球 5 %、桿状核 26 %、分節核 43 %、好酸球 5 %、好塩基球 2 %、単球 7 %、リンパ球 10 %)、血小板 50 万。鑑別診断に有用な検査はどれか。2つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
a好中球アルカリホスファターゼ染色
b動脈血酸素飽和度
c骨髄穿刺
d腹部CT検査
e脾生検

キーワード:骨髄増殖性疾患、好中球アルカリホスファターゼ染色
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:普通
必要度:重要

解説:血球の全てが増加しており、骨髄増殖性疾患の鑑別が必要である。慢性骨髄性白血病と真性多血症の鑑別上、好中球アルカリホスファターゼ染色が有用である。動脈血酸素飽和度の測定は赤血球増加症の鑑別に必要である。骨髄増殖性疾患ではしばしば血小板機能の異常を示し、脾生検は大出血をきたす可能性があるので禁忌である。
 
14.  50歳の男性。腰痛を主訴に入院。肝2横指、脾1横指触。赤血球200万、Hb 7.0 g/dl、Ht 20 %、網赤血球 0.2 %、白血球3000、血小板2万、総蛋白12 g/dl、クレアチニン 2,2 mg/dl 、骨髄塗沫標本を写真(11)に示す。以下の検査項目の中で診断確定に必要な検査はどれか。2つ選べ。

(写真11)
解答形式:X(2)正答 →
a血清蛋白免疫電気泳動
b腎生検
c静脈性腎盂造影
d腹部CT撮影
e全身骨X線撮影

キーワード:腰痛、多発性骨髄腫、血清蛋白免疫電気泳動
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解決型
難易度:平易
必要度:重要

解説:写真はやや幼弱で異形性のある形質細胞を示し、多発性骨髄腫と診断される。血小板数が少ない場合の腎生検、腎機能が悪い骨髄腫患者に対する造影剤の使用は禁忌である。
 
15.  65歳男性。この1年間感冒に罹患しやすく、また肺炎のために1度入院した。最近になって体重減少、全身倦怠感が強くなり、意識障害のため緊急入院となった。示指大までの表在リンパ節を多数、肝2横指、脾3横指触知。Hb 10 g/dl、白血球4500、血小板8万、TP 13 g/dl、IgG 300 mg/dl(基準870-1700)、IgA 50 mg/dl(基準110-410)、 IgM 10000 mg/dl(基準33-190)。骨髄塗抹標本を写真(12)に示す。以下の治療法の中で適切なものはどれか。2つ選べ。

(写真12)
解答形式:X(2)正答 →
a赤血球輸血
b血小板輸血
c副腎皮質ステロイドの投与
d脾摘
e血漿交換

キーワード:原発性マクログロブリン血症、過粘度症候群
領域:
Taxonomy:問題解決型
難易度:平易
必要性:重要

解説:写真は形質細胞様リンパ球を示し、またIgMが高値で意識障害を伴うことから、過粘度症候群を合併した原発性マクログロブリン血症と診断される。貧血、血小板減少は軽度であり、赤血球輸血や血小板輸血はさらに血液の粘調度を上昇させ、脳血管障害を増悪させる可能性があるため禁忌である。
 
16.  68歳男性。健康診断でリンパ節腫脹を指摘され近医を受診したところ、消炎鎮痛剤と抗生物質を投与されたが改善しなかったため来院。3 cmまでの表在リンパ節を多数触知。生検した頸部リンパ節の病理組織標本を写真(13)に示す。

(写真13)

1) 正しいものはどれか。 2 つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
a細胞がびまん性に増殖している。
b濾胞が目だつ。
cT細胞が増加している。
dB細胞が増加している。
e免疫グロブリン軽鎖で、κ鎖とλ鎖の陽性率に偏りはない。

キーワード:悪性リンパ腫、表面抗原(表面マーカー)、染色体、濾胞性リンパ腫
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:病理組織像は濾胞性の細胞増殖パターンを示しており、濾胞性リンパ腫と診断される。濾胞性リンパ腫はB細胞由来のリンパ腫でCD20が陽性である。またκ鎖、λ鎖の一方のみを発現していることが多いために、κ/λ比は偏りを示す。染色体異常 t(14;18) を認めることが多い。
 
 2) 第一選択の治療法はどれか。
解答形式:A正答 →
a経過観察
bサリドマイドを含む化学療法
crituximabを含む化学療法
d同種骨髄移植
e自己末梢血幹細胞移植

キーワード:悪性リンパ腫の治療、濾胞性リンパ腫、rituximab、サリドマイド
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解決型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:濾胞性リンパ腫はこれまで優れた治療法がな、経過観察とリンパ節腫脹、臓器浸潤を軽減する目的の間欠的化学療法が主流であったが、近年rituximabが開発され積極的に化学療法と併用されるようになっている。また造血幹細胞移植も試みられているが第一選択の治療法ではない。サリドマイドは治療抵抗性、再発性の多発性骨髄腫に対して用いられる。
 
17.  45歳男性。発熱、全身倦怠感のために近医を受診したところ、汎血球減少を指摘されたため来院。ヘモグロビン 5 g/dl、白血球 1200、血小板 2万。骨髄穿刺を行ったところ写真(14)に示す細胞を多数認めた。正しいものはどれか。2つ選べ。

(写真14)
解答形式:X(2)正答 →
a最近東南アジアへ渡航した可能性が高い。
b経過観察のみで改善することが多いので、積極的な治療は必要ない。
c原因の鑑別は比較的容易である。
dウイルス感染症でみられることがある。
eサイトカインの異常が存在する。

キーワード:汎血球減少症、血球貪食症候群、サイトカイン
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:汎血球減少症とマクロファージによる血球貪食像を示す写真から血球貪食症候群と診断される。ウイルス感染などの感染症やリンパ腫等の悪性腫瘍、膠原病などに合併することが多いが、原因疾患の鑑別が困難な場合が多い。自然軽快する場合もあるが、悪性腫瘍に合併した場合、重症化し死亡する場合もある。サイトカインの異常(IL-1 - β、TNF - α、IFN - γ などの 増加)によるマクロファージの貪食能亢進が、血球貪食を誘導すると考えられている。
 
18.  50歳、男性。全身倦怠感、食思不振、体重減少(3カ月で5 kg)を主訴に来院。両側頸部に径3 cmまでのリンパ節を2個づつ、また肝3横指、脾1横指、心窩部に5 cm大の腫瘤を触知。生検リンパ節の病理組織標本を写真(15)に示す。

(写真15)

1) 正しいものはどれか。
解答形式:A正答 →
a比較的成熟した小型のリンパ球が大半を占めている。
b幼弱にみえる大型のリンパ球が大半を占めている。
cHodgkinリンパ腫である。
dいわゆるlow grade非Hodgkinリンパ腫である。
e固形癌のリンパ節転移である。

キーワード:悪性リンパ腫、び慢性大細胞型B細胞リンパ腫、low grade非Hodgkinリンパ腫
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要性:重要

解説:び慢性大細胞型B細胞リンパ腫の典型的な病理組織像である。
 
2) 最初に行う治療法として適切なものはどれか。
解答形式:A正答 →
a心窩部腫瘤の摘出、脾摘と術後化学療法
bリンパ節、心窩部腫瘤、肝臓、脾臓に対する放射線照射
c5-FU、マイトマイシンC併用化学療法
dシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン併用化学療法
eドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ダカルバジン併用化学療法

キーワード:悪性リンパ腫の治療、CHOP療法
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解決型
難易度:中等度
必要性:重要

解説:臨床病期III期以上であり、肝臓浸潤が疑われIV期と判断されるために化学療法の適応である。したがって非Hodgkinリンパ腫に対する標準的な化学療法であるCHOP療法を行う。eはHodgkinリンパ腫に対する多剤併用療法(ABVD)である。
 
19.  45 才男性。小児期から鼻出血や抜歯後の止血が困難であった。植木職人で作業中に木から転落して肝臓を損傷したため緊急手術を行った。術後3日目であるが、腹腔内に留置したドレーンからの出血が続いている。Hb 8 g/dL、白血球 12000、血小板 20 万、プロトロンビン時間(PT)16秒(基準 9-13)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 60 秒(基準 25-45)、フィブリノゲン 300 mg/dL(基準 150-400)、FDP 20 μg/mL(基準 10 以下)、出血時間4分(基準 1-5)。考えられる疾患はどれか。
解答形式:A正答 →
a播種性血管内凝固(DIC)
bプロトロンビン、VまたはX因子欠損症
cVII因子欠損症
dXI因子欠損症または血友病
eXIII因子欠損症

キーワード:先天性凝固因子欠損症、PT、APTT
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要性:重要

解説:PT、APTTともに延長していることは共通経路の凝固因子低下を意味し、フィブリノゲン値が正常であることから答えはbとなる。
 
20.  20歳男性。3日前に抜歯したが止血しないため歯科を受診したところ、血液内科受診を勧められて来院。Hb 12 g/dl、白血球 8000、血小板 30万。プロトロンビン時間(PT)12秒(基準 9-13)、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) 70 秒(基準 25-45)、出血時間 3 分 (基準 1-5)。混合補正試験(正常血漿と緩衝液または患者血漿を1:1に混合し、37 ℃ で2時間インキュベーション後、PT およびAPTTを測定)を行ったところ、以下の結果を得た。
 PT(秒)APTT(秒)
A. 正常血漿1135
B. 患者血漿1270
C. 正常血漿+緩衝液1560
D. 正常血漿+患者血漿1250
   

考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
aフィブリノゲン、プロトロンビン、VまたはX因子活性の低下
bVII因子活性の低下
cXI、IXまたはVIII 因子活性の低下
d凝固因子の産生低下
e凝固因子に対する抗体(循環抗凝血素、インヒビター)

キーワード:PT、APTT、循環抗凝血素(インヒビター)、混合補正試験
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説: PT正常、APTT延長から内因系の異常であり、混合補正試験のAPTTをみるとCよりもDが短縮していることから、凝固因子の産生低下と診断される。
 
21.  24 才女性。生来健康であったが、半年前から月経が長引き、最近になってめまいや動悸が強く、下肢に出血斑(写真 16)も出現したため来院。赤血球 240万、Hb 6 g/dl、Ht 17 %、網赤血球 1 %、白血球 6000、血小板 1.5万、プロトロンビン時間(PT)11 秒(基準 9-13)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 35 秒(基準 25-45)。骨髄穿刺液の病理組織標本を写真(17)に示す。考えられる疾患はどれか。2つ選べ。

(写真16)(写真17)
解答形式:X(2)正答 →
a鉄欠乏性貧血
bサラセミア
c骨髄異形成症候群
d特発性血小板減少性紫斑病
eEvans症候群

キーワード:鉄欠乏性貧血、特発性血小板減少性紫斑病
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:必須

解説:写真は正形成骨髄で骨髄巨核球が増加していることを示しており、基礎疾患を欠くことから特発性血小板減少性紫斑病が疑われる。さらに過多月経と小球性低色素性貧血から鉄欠乏性貧血の合併が考えられる。閉経前の女性ITP患者が鉄欠乏性貧血を合併する頻度はきわめて高い。
 
22.  18 才男性。昨日手指を切傷し外科で縫合を受けたが、なかなか止血しないために受診した。小児期にも抜歯や外傷後に、たびたび止血が困難であったと言う。Hd 13 g/dl、白血球 8000、血小板 30万。プロトロンビン時間(PT)12秒(基準 9-13)、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) 35 秒(基準 25-45)、出血時間 10 分(基準 1-5)。血小板形態に異常を認めず、血小板凝集能検査ではリストセチンだけが正常で、ADP、エピネフリン、コラーゲンでは著しく低下していた。考えられる疾患はどれか。
解答形式:A正答 →
a血小板無力症
bBernard-Soulier 症候群
c血小板型von Willebrand病
dstorage-pool 病
eMay-Hegglin 異常

キーワード:先天性血小板機能異常症、血小板無力症、Bernard-Soulier 症候群、storage-pool 病、May-Hegglin 異常
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:平易
必要度:重要

解説:リストセチン凝集だけ保たれ、それ以外の刺激物質による凝集が低下する先天性血小板機能異常症は血小板無力症である。
 
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