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平成14年度卒業試験 本試験問題 血液内科PAGE 1 2 3 [4] 5
1.  30歳女性。検診にて貧血を指摘されて来院。母親、兄に貧血、胆石がある。脾を2横指触知。赤血球 310万、Hb 10 g/dl 、Ht 27 %、網赤血球 10 %、白血球 5500、血小板 20万、LDH 800 IU/l(基準280-510)、総ビリルビン 3.0 mg/dl、直接ビリルビン0.5 mg/dl。末梢血塗沫標本を写真(3)に示す。第一選択の治療法はどれか。

(写真3)
解答形式:A正答 →
a赤血球輸血
b副腎皮質ステロイドの投与
c蛋白同化ホルモンの投与
d脾摘
e造血幹細胞移植

キーワード:遺伝性球状赤血球症、脾摘
領域:
Taxonomy:問題解釈型
難易度:平易
必要性:重要

解説:家族歴と溶血性貧血を示す検査所見、赤血球の形態(球状赤血球)から遺伝性球状赤血球症と診断される。
 
2.  54歳男性。2ヵ月前より動悸、めまいを感じるようになり、3日前からの鼻出血が止血しないため来院。赤血球250万、Hb 7.0 g/dl、Ht 22%、網赤血球0.2 %、白血球1800 (好中球10 %、単球 5 %、リンパ球85 %)、血小板1万。骨髄生検の病理組織標本を写真(4)に示す。この疾患に合致する所見はどれか。

(写真4)
解答形式:A正答 →
a脾腫
b位置覚、振動覚の低下
c間接ビリルビン値上昇
dCoombs試験陽性
e赤血球鉄利用率低下

キーワード:再生不良性貧血、Coombs試験、赤血球鉄利用率
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:平易
必要度:必須

解説:病歴、汎血球減少症、著しい低形成骨髄(脂肪髄)所見から再生不良性貧血と診断される。
 
3.  28歳女性。39 ℃の発熱、血尿、歯肉出血のため来院した。赤血球310万、Hb 9.0 g/dl、Ht 28 %、白血球8000、血小板 2万。抹梢血塗沫標本を写真(5)に示す。以下の疾患の中で考えられるものはどれか。2つ選べ。

(写真5)
解答形式:X(2)正答 →
a再生不良性貧血
bサラセミア
c播種性血管内凝固(DIC)
d特発性血小板減少性紫班病(ITP)
e血栓性血小板減少性紫班病(TTP)

キーワード:赤血球破砕症候群、DIC、血栓性血小板減少性紫班病(TTP)
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:平易
必要度:重要

解説:写真は奇形赤血球を示し、血球破砕症候群をきたす疾患を問う問題である。
 
4.  28歳男性。コーラ色の早朝尿、労作時息切れを主訴に来院。 赤血球 220 万、Hb 7.0 g/dl、Ht 20 %、網赤血球12 %、白血球3000(桿状核 12 %、分節核 16 %、好酸球 2 %、単球 13 %、リンパ球 57 %)、血小板 10万、LDH 2200 IU/l(基準280-510)、総ビリルビン3.0 mg/dl、直接ビリルビン0.7 mg/dl、Ham試験、ショ糖試験陽性。この疾患について正しいものはどれか。2つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
aしばしば血栓症を合併する。
b造血幹細胞の先天性異常が原因である。
c赤血球アセチルコリンエステラーゼ値は上昇する。
d輸血は全血輸血がのぞましい。
e血球表面でCD55、CD59などのGPI-アンカー蛋白が欠損している。

キーワード:発作性夜間血色素尿症、赤血球アセチルコリンエステラーゼ、GPI-アンカー蛋白
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:補体制御蛋白であるCD55、CD59やアセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼなどのGPI-アンカー蛋白の後天的欠損が原因の後天性溶血性貧血である。補体の存在下で溶血をきたすため輸血には洗浄赤血球を用いる。
 
5.  50歳女性。めまい、労作時息切れを主訴に来院。赤血球200万、Hb 7.7 g/dl、Ht 24 %、網赤血球2 %、WBC 4000、血小板 6万、血清鉄150 μg/dl(基準80-170)、 血清ビタミンB12 65 pg/dl( 基準300-1000)、葉酸4 ng/ml(基準2-8)。この疾患でみられる所見および適切な治療法はどれか。2つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
a胃癌の合併
bRomberg徴候陽性
cCoombs試験陽性
d輸血
e副腎皮質ステロイドの投与

キーワード:悪性貧血、胃癌、Romberg徴候、ビタミンB12
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等
必要度:重要

解説:大球性貧血とビタミンB12の低下より悪性貧血と診断される。
 
6.  40歳男性。半年前から労作時に動悸、息切れが出現し、最近になって増強したため来院。赤血球370万、 Hb 9.0 g/dl、Ht 27 %、網赤血球 0.5 %、白血球 6000、血小板 50万。CRP 0.5 mg/dl。次に検査すべきものはどれか。2つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
a血清鉄、総鉄結合能
bビタミンB12、葉酸値
c骨髄穿刺
dCoombs 試験
e上部および下部消化管検査

キーワード:鉄欠乏性貧血、血清鉄、総鉄結合能
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解決型
難易度:中等度
必要度:必須

解説:小球性低色素性貧血で炎症反応を欠いていることから、まず鉄欠乏性貧血を疑うが、血清鉄、総鉄結合能を測定してサラセミアを除外する必要がある。成人男性で鉄欠乏性貧血をみた場合、慢性出血源として頻度の高い消化管出血の検査を進める。
 
7.  17歳の男性。咽頭痛、全身のリンパ節腫脹、39 ℃の発熱を主訴に来院。咽頭発赤著明。2 cmまでのリンパ節を頚部、腋窩、鼠径部に多数触知。赤血球440万、Hb 15 g/dl、白血球 14000、血小板 20 万。以下の診療行為の中で適切なものはどれか。2つ選べ。
解答形式:X(2)正答 →
aリンパ節の大きさ、数、性状(硬度、弾力性、圧痛の有無、可動性等)に注意する。
b末梢血塗抹標本を観察する。
c全身のリンパ節腫脹を評価するためにガリウムシンチグラフィーを行う
d早期に診断を確定するためにリンパ節生検を行う。
e発熱に対して、まず広域スペクトラム抗生剤であるアンピシリンを投与してみる。

キーワード:伝染性単核球症、リンパ節腫脹、発熱、咽頭発赤
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解決型
難易度:平易
必要度:重要

解説:若い男性が咽頭痛、頚部のリンパ節腫脹、発熱を訴えており、まずEBウイルス感染による伝染性単核球症が疑われる。したがって末梢血中に異型リンパ球が存在するかどうかを塗抹標本で観察する必要がある。良性疾患が疑われるので、すぐにリンパ節生検やガリウムシンチを行うべきではない。伝染性単核球症では、アンピシリンの投与により高頻度にアレルギー皮疹を引き起こすので禁忌である。
 
8.  68歳の女性。15年前に胃全摘術を受けている。Hb 9 g/dl、白血球 2500、血小板 7万。骨髄塗抹標本では写真(6)に示す所見に加えて、巨赤芽球、過分葉または2核の好中球が認められた。葉酸、ビタミンB12値は正常であった。本症について正しいものはどれか。2つ選べ。

(写真6)
解答形式:X(2)正答 →
aしばしばt(9;22)の染色体異常を認める。
b種々の血球異常を起こす単クローン性の疾患である。
c骨髄での無効造血が疾患の病態として重要である。
dしばしば肝脾腫を認める。
e若年者にもしばしば発症する。

キーワード:骨髄異形性症候群(MDS)、無効造血
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:写真は異形性のある巨核球(左は単核の微小巨核球:micromegakaryocyte、右は2核の巨核球)を示し、巨赤芽球、過分葉または2核の巨大好中球などとともにMDSに特徴的な細胞の異形性所見である。t(9;22)の染色体転座を認めるのは慢性骨髄性白血病(CML)であり、肝脾腫もCMLを代表とする骨髄増殖性疾患でみられる所見である。MDSは中高齢者に多く、若年者には少ない。
 
9.  70歳の女性。動悸、息切れ、食欲不振を主訴に来院。赤血球290万、Hb 7.6 g/dl、白血球 37000、血小板 9万、LDH 1500 IU/l (基準280 - 510)。末梢血塗沫標本を写真(7)に示す。本症について正しいものを2つ選べ。

(写真7)
解答形式:X(2)正答 →
a写真の細胞はBリンパ球である。
bEBウイルスが原因である。
cしばしば高Na血症を合併する。
dしばしば皮膚病変がみられる。
e予後不良である。

キーワード:ATL、flower cell、LDH
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:末梢血中に核の切れ込みの著明な細胞 (flower cell) が認められ、成人T細胞白血病 (ATL) が疑われる。ATLはHTLV-Iウイルスによって引き起こされ、しばしば高Ca血症や皮膚病変を合併する。末梢血に少数の異常リンパ球が出現するだけのくすぶり型や慢性型は比較的長期間生存することもあるが、本例のように白血球数、LDH高値でflower cellが認められる急性型の予後は極めて不良である。
 
10.  33歳の男性。大腿および膝関節の痛みを主訴に来院。両側頚部に小指頭大のリンパ節を4-5個ずつ触知。Hb 10 g/dl、白血球 70000、血小板 4万。末梢血塗抹標本を写真(8)に示す。ペルオキシダーゼ染色は陰性であった。この疾患の予後、治療について適切なものを2つ選べ。

(写真8)
解答形式:X(2)正答 →
a播種性血管内凝固(DIC)を合併する頻度が高い。
b t(9;22)陽性のものは予後不良である。
cM蛋白が認められることが多い。
dプレドニゾロンは有効な治療薬の1つである。
eしばしば高カルシウム血症を合併する。

キーワード:急性リンパ性白血病、筋肉、関節痛、白血球増多、リンパ節腫脹、ペルオキシダーゼ染色
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:リンパ節腫脹およびペルオキシダーゼ陰性の芽球の著明な増加と、リンパ球の特徴(比較的均一に染まる核など)を残す形態から、急性リンパ性白血病と診断される。Ph染色体: t(9;22) 陽性例はきわめて予後不良である。DICを合併する頻度が高い白血病は急性前骨髄球性白血病、M蛋白が認められるのは多発性骨髄腫とマクログロブリン血症であり、しばしば高カルシウム血症を合併するのは成人T細胞白血病 (ATL) である。
 
11.  47歳の男性。動悸、息切れに加えて、最近になって体幹部に皮疹が出現したため来院。両側頚部に示指頭大までのリンパ節を各2個触知。Hb 7.5 g/dl、白血球 22000、血小板 3万。骨髄塗抹標本を写真(9)に示す。ペルオキシダーゼ染色は陽性であった。この疾患でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。

(写真9)
解答形式:X(2)正答 →
at(8;21)
b好中球アルカリホスファターゼ低値
c血清リゾチーム高値
dfaggot細胞の出現
e非特異的エステラーゼ染色陽性

キーワード:急性単球性白血病、皮疹、頚部リンパ節腫大、ペルオキシダーゼ染色、リゾチーム、エステラーゼ染色
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:皮疹に加え、小空胞のある広い細胞質を持ち、核に不規則な切れ込みがある単球の特徴を備えた細胞が著増しており、急性単球性白血病 (M5) が疑われる。t(8;21) はM2に、faggot細胞はM3に認められる。好中球アルカリホスファターゼ低値は、慢性骨髄性白血病に特徴的な所見である。
 
12.  50才女性。動悸、労作時息切れ、下肢の出血斑を主訴に来院した。胸骨左縁第3-4肋間に収縮期雑音(Levine II度)を聴取、肝臓3横指、脾5横指触知し、いずれも硬く、辺縁は鈍で圧痛なし。下肢に点状出血を多数認めた。Hb 6 g/dl、白血球 4000(分画:骨髄球 2 %、後骨髄球 3 %、桿状核 20 %、分節核 40 %、好酸球 2 %、好塩基球 1 %、単球 7 %、リンパ球 25 %、他に赤芽球が少数あり)、血小板 1万。プロトロンビン時間(PT)11 秒(基準 9-13)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 35 秒(基準 25-45)。骨髄穿刺を試みたが吸引不能(dry tap)のため骨髄生検を行った(写真 10)。診断はどれか。

(写真10)
解答形式:A正答 →
a急性骨髄性白血病
b慢性骨髄性白血病
c骨髄線維症
d癌の骨髄転移
eアミロイドーシス

キーワード:骨髄線維症、dry tap
領域:臨床実地
Taxonomy:問題解釈型
難易度:中等度
必要度:重要

解説:著しい肝脾腫と貧血、白赤芽球症(leukoerythroblastic change)の所見、また吸引不能 (dry tap) 骨髄と写真(造血細胞が減少し、骨髄の線維化が著しい)から骨髄線維症と診断される。骨髄線維症ではしばしば巨核球も増加する。
 
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