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病態と診断のポイント |
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悪性リンパ腫はリンパ球が癌化したものと考えられており,その由来から多くはT細胞性あるいはB細胞性と分類できる。
悪性リンパ腫は化学療法や放射線療法の発達により治癒することが可能となってきた疾患であるが,その組織型により予後や化学療法への反応性が大きく異なるため,個々の悪性リンパ腫の診断を正確に行うことは大変重要なこととなっている。正確な組織型を知る上で,表面マーカー検査・染色体検査・遺伝子検査は重要な検査であり,これらの検査の正確な理解は臨床上も必須の知識である。
また,リンパ節は反応性に腫脹することも多く(感染症や膠原病等),時として,悪性リンパ腫との鑑別に苦慮する。悪性腫瘍と良性(反応性)リンパ節腫脹の鑑別は最も重要であり,これにおいても表面マーカー検査・染色体検査・遺伝子検査は大変有用である。
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さらに,悪性リンパ腫は全身性に病変が進展していても,治療可能な疾患であり,疾患の進展の程度(病期)を正確に把握することも治療法を選択する上で重要である
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1.悪性リンパ腫の診断法 |
悪性リンパ腫には治療への反応性や予後が異なる多くの組織型が含まれており(後述),これらを正確に分類することは,治療計画を立てる上でも大変重要である。
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1)リンパ節生検時の検査(図1) |
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病理検査(HE染色:図2,免疫染色:図3) |
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最も基本的診断手技の一つである.免疫染色を行うことにより細胞の由来(T細胞性,B細胞性)を知ることができる。時として反応性病変(良性)と悪性リンパ腫の鑑別が困難な例がある。
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図2 |

図3 |
細胞の微細な構造を知ることができる。
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図4 |
細胞の由来を知ることができる.また,その発現パターンにより組織型が推測できる場合がある
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図5 |
リンパ腫では多くの組織型や治療感受性あるいは予後と相関の高い特異的な染色体異常が知られている。
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図6 |
リンパ腫細胞はB細胞由来であれば免疫グロブリン遺伝子の再構成を,T細胞性であればT細胞レセプター遺伝子の再構成を生じており,サザン法で再構成バンドを認める。これらの再構成バンドの検出はその細胞集団がこの細胞から増殖してきたこと(モノクロナリティー)を意味しており,多くの場合,癌組織であることを示唆する。この検査は良性(反応性)と悪性(悪性リンパ腫)の鑑別に大変有用である。
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図7 |
悪性リンパ腫は腫瘍細胞の広がりの程度により第I〜IV期に分類される。悪性リンパ腫は病期によって予後が異なり,治療法も異なる場合があり,正確な病期を決定する検査は重要である。
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CT検査(図8)(頭部,頸部,胸部,腹部,骨盤部) |
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表在リンパ節だけでなく深部リンパ節(縦隔・肺門リンパ節,腹腔リンパ節等)の腫脹が検出できる.理学的所見では検出できない肝臓・脾臓への浸潤や軽度の肝脾腫を検出できる。
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図8 |
リンパ腫の存在部位にガリウムの取り込みを認める。炎症部位にも取り込みを認めるため,炎症との鑑別が重要になることがある。
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図10 |
骨髄浸潤の有無を検出する.骨髄穿刺のみでなく骨髄生検も行う必要がある。
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髄膜浸潤を検出できる.髄膜浸潤は頭部CTや頭部MRIでは検出できないことがある.また,髄膜浸潤を認める症例には髄腔内への抗癌剤投与も行う。
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2.悪性リンパ腫の種類(表2A・b) |
悪性リンパ腫は大きくホジキン病と非ホジキン悪性リンパ腫の2群に分類される。ホジキン病は4種のサブタイプに分けられる(表2A)。ホジキン病は大きな核小体を有するホジキン細胞や二核のReed-Sternberg(R-S)細胞の出現が特徴的で,それ以外の浸潤しているリンパ球には異型性を認めない(図11,12)。
ホジキン細胞やR-S細胞はCD15,CD30が陽性となることが多い.ホジキン病は欧米では頻度の高い悪性リンパ腫であるが,日本では欧米に比べて頻度が低い。ホジキン病は非ホジキン悪性リンパ腫に比べて一般に予後良好である。
非ホジキン悪性リンパ腫(表2B)は免疫学的特徴からB細胞性とT細胞性に分類される。B細胞性悪性リンパ腫では表面マーカー上CD19,CD20が陽性となることが多い。またT細胞性リンパ腫ではCD2,CD3,CD5,CD4または CD8が陽性となることが多い。
日本ではび漫性大細胞型B細胞リンパ腫(図2)の頻度が高い。
また日本では胃に原発する悪性リンパ腫が多く,その多くはMALTリンパ腫と呼ばれる特殊なリンパ腫と考えられている。胃のMALTリンパ腫は胃のピロリ菌感染などによる慢性炎症が発症の原因と考えられており,ピロリ菌の除菌のみでリンパ腫が消失するという報告もあり,現在治療法について全国で研究中である。
濾胞構造をとる濾胞性リンパ腫(図13)はB細胞由来で表面マーカー上CD10が陽性のことが多く,
t(14 ; 18)という特徴的な染色体異常を持つものが多い。癌遺伝子bcl2の発現異常が癌化に関与していると考えられている。一般に治療抵抗性で,標準的抗癌剤治療では治癒させるのは困難である。
Burkitt(バーキット)型リンパ腫はアフリカに多く認められ,特徴的なt(8 ; 14)という染色体異常を有する。癌遺伝子c-mycの過剰発現が癌化に関与していると考えられている.日本での頻度は低い。
日本ではHTLV-Iウイルス感染により発症する成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T cell leukemia/lymphoma;ATL)の頻度が高い。感染経路は主に母乳を介した母子感染と考えられている。発症すると難治性で,よい治療法が現在のところない。
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3.悪性リンパ腫の予後予測と治療 |
悪性リンパ腫はその組織型や染色体異常,遺伝子異常により予後や化学療法への反応性が推測可能である。
最近の各種検査法の進歩により前述した組織型以外にも多くの組織型を特徴的な検査結果のパターンから分類することが可能となった。以下に最近注目されている新たな組織型と表面マーカー,染色体異常および遺伝子異常と予後について述べる。
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B細胞性でCD5,CD19,CD20が陽性,CD23が陰性。
t(11 ; 14)という特徴的な染色体異常を有する.癌遺伝子bcl1/cyclin D1の過剰発現が癌化に関与していると考えられている。難治性で標準的な治療では治癒は期待できない。
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T細胞由来あるいは由来不明のnull cell typeからなる。
形態は異型性の強い大型細胞でホジキン細胞に似ている。しばしば肉腫との鑑別が問題になる。CD30が陽性を示す.特徴的なt(2 ; 5)という染色体異常を有する症例がある。この場合ALK遺伝子に異常を生じるために癌化したと考えられている。この染色体異常を有する症例の予後は良好である。一方,この異常を有しない症例は予後不良である。
さらに,非ホジキン悪性リンパ腫では年齢,LDH,PS(表3),病期,リンパ節外の病変の5項目から予後推定が可能(International Prognostic Index;IPI)である(表4,図14)。
治療法としては抗癌剤治療が標準であるが,予後不良が予測される症例や再発例には,自家末梢血造血幹細胞移植が施行される。
難治性の悪性リンパ腫に対しては同種(兄弟間あるいは非血縁者間)骨髄移植や,また骨髄移植時の抗癌剤の投与量を大幅に減らした骨髄非破壊骨髄移植(ミニ移植)も試みられ始めている。
また,最近は表面抗原CD20に対する抗体を用いた抗体療法や,遺伝子治療の一つであるアンチセンス療法などの新しい治療法が試みられている。
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図14 |
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