以上,AIHAからPCHまでを(表4と図10)にまとめた。
血球膜表面の補体制御因子の欠損により,補体の活性が抑えられず血管内溶血を生じる後天性溶血性疾患である。夜間睡眠時に溶血が起こり,起床後の最初の尿でコーラ様の血色素尿を認める特徴的な症状を有する。本態は補体制御因子であるglycosyl-phosphatidyl inositol(GPI)アンカーの合成障害である。この結果GPIアンカーの末端に付く補体活性化を抑制するdecay accelerating factor(DAF)やCD59に完全・部分的欠損を認め,溶血が起こる(図11)。夜間に溶血が起こるメカニズムは,睡眠中にCO2や乳酸などが蓄積し,血液が酸性になり補体が活性化されるためである。貧血の程度は様々である.検査所見では間接ビリルビンの上昇や尿中ヘモジデリンを認める他,Ham試験・砂糖水試験やフローサイトメトリーでの血球上のDAFやCD59の低下などにより本症と診断することができる。再生不良性貧血を合併する「再生不良性貧血―PNH症候群」がある。通常治療には,蛋白同化ホルモンを使用する。骨髄移植は根治的な治療法であるが,その危険性のため行われることは少ない。高度の溶血で輸血が必要な際には洗浄赤血球を使う必要がある。また溶血が続くことにより鉄欠乏になることがあるが,鉄の補充により異常赤血球が大量に産生されると,溶血発作が誘発される可能性があるので慎重な投与が必要である。
血漿内の蛋白と結合した薬剤が抗体を作り,この複合体が赤血球に付着することにより補体の赤血球への付着を引き起こすことが,溶血の原因となるタイプ.主としてIgMであり,キニン,キニジン等が代表的な薬剤である。
ハプテン型および抗原抗体複合型について図12に示す。