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NK細胞腫瘍治療の新しい流れ PAGE 1 2 3 [4]
 
 日本を含むアジアに比較的多く欧米にはほとんど見られない造血器腫瘍が、難治性のNK細胞白血病や悪性リンパ腫である。私共が全国アンケート調査を行った結果では、1994年から1998年までの5年間に発症したNK細胞白血病・リンパ腫のなかでもっとも多いのが鼻型NK細胞リンパ腫で全体の63%を占めていた。しかし多いといっても鼻型NK細胞リンパ腫は全悪性リンパ腫のうちの2%を占めるにすぎず、やはり少数派である。一方、韓国では9%、香港では8%と日本に比べて多く、事実これらの国からの論文が目立つ。このような疾患についての研究を欧米の学会で発表しても、ポスターの前を素通りされるだけで、欧米人の興味は薄い。我々アジア人が解決せねばならない疾患といえる。

 これまでNK関連の腫瘍については、興味あるものが集まってNK腫瘍研究会を作り、毎年定期的に会合を持ち、今年の春で第8回を数えるに至った。この間、世界的にはWHO分類が提案され、NK細胞由来の腫瘍もT細胞腫瘍と同じ範疇に新しく加えられ、一人前の市民権を得たといってもいいであろう。そして、進歩は速いとはいえないが、確実に研究成果が現れ、原因、病態、治療法、予後などが少しずつ解明されつつある。

 限局期の鼻NK細胞リンパ腫に対しては、JCOG (Japan Clinical Oncology Group)リンパ腫グループで放射線療法とDeVIC療法を併用する治療法の臨床試験がすでに始まっている。この治療法は、造血器腫瘍に対して局所放射線治療と多剤併用化学療法を併用するという全く新しい試みで、現在第I相試験が行われている。これとは別に、治療前の血液中のEBウイルス量が予後を予測する因子になりうるとの予想で、NK腫瘍研究会が中心になって、疾患の経過に沿ってEBウイルス量を経時的に測定する試みが始まった。この研究は各施設の倫理委員会の承認を得れば、どの施設でも参加可能である。また、進行期や再発・難治性の鼻型NK細胞リンパ腫とアグレッシブNK細胞白血病に対して、L-asparaginaseを含む多剤併用化学療法がNK腫瘍研究会の主導で、韓国、香港など外国の施設も加えて、近々開始される予定である。この研究も第I相試験で、プロトコールの詳細は近々公表される。希望すればどの施設も参加可能である。これらの研究についてはニュースレターを定期的に刊行する予定で、先日第1号が発刊された。

 欧米に比べればアジアに多いといってもその患者数は限られているため、このような疾患の研究には、近隣のアジア諸国と積極的に共同研究を進めることが必要であろう。


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