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患者さまのための解説 
限局期(病気がまだ広がってない時期)の鼻NK細胞リンパ腫の治療PAGE 1 2 [3]
 

鼻NK細胞リンパ腫は、これまでも述べましたように、鼻腔に発生するまれな悪性リンパ腫ですが、通常の抗がん剤の組み合わせによる治療法では治りにくく、これまでとはまったく異なる治療法がいいように思われます。そこで私どもは、全国のいくつかの病院と共同で、新しい方法で治療を始めております。

もしもこの病気と言われましたら、そしてもしもまだ病気が広がってないと医師から言われましたら、ぜひとも私どもの科へいらして下さい。

この新しい治療法は、放射線治療と化学療法(抗がん剤を使う治療法)を同時期におこなうもので、放射線医学の専門家と血液内科の専門家とが、一緒に治療にあたる方法です。詳しくは、外来にいらしたときや入院の際にお話し申し上げます。
進行期の鼻NK細胞リンパ腫の治療 
 
 鼻NK細胞リンパ腫でも、すでに鼻以外の部位に転移している場合は、治療法が難しくなります。病変が限られていれば放射線治療という方法が考えられますが、あまりに広範囲ですと放射線治療ではすべての病変を治すことは難しくなり、どうしても抗がん剤の使用を考えねばなりません。ではどのような抗がん剤が優れているのでしょうか。他の悪性リンパ腫ですと、CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの組み合わせ)がいいのですが、この病気ではCHOP療法はあまり効かないようです。なぜ効かないのでしょうか?その理由もある程度は分かってきてはおりますが、まだ本当のところは不明です。

 そこで我々のこれまでの経験や他の病院の先生方の経験などから治療法を考えてみますと L-アスパラギナーゼという薬が有効です。しかし一種類の抗がん剤だけ使いますと、やがてはその薬が効かなくなってきますので、他の数種類の効きそうな薬を混ぜて使うほうがいいようです。L-アスパラギナーゼと併用できるいい薬は何でしょうか?ここが問題なのです。おそらVP-16(エトポシド)が良さそうです。ではそのほかの薬は?

 いろいろと検討しました結果、ステロイド剤やメソトレキセート、イホスファミドなども併用するのが良さそうなことが分かってきました。そこで、これらの薬の頭文字をとって、この多剤併用化学療法をSMILE療法と名づけました。現在、このSMILE療法は、広くアジア規模で進められていて、2007年の春からは、さらに多くの国々との共同研究を始めております。日本ではあまり多くない病気ですので、この病気が多い他のアジア諸国との共同研究が薬の有効性を調べるのには欠かせないために、このような規模で共同研究が進められております。
 進行期の鼻NK細胞リンパ腫がSMILE療法を繰り返すことで治るのかというのが次の課題ですが、まだ結論はついていません。おそらくSMILEだけでは無理で、もっと強い治療法、つまり同種造血幹細胞移植が必要になるのではないかと思っております。
 移植療法をしないで、薬だけで治す方法はないものか、現在、この課題についても検討中です。たとえばB細胞リンパ腫で成功しているように、モノクローナル抗体療法も一つの方法と思います。つまりNK細胞に発現している分子に対して作られたモノクロ−ナル抗体を用いる治療法です。まだこのような治療法は始まっていませんが、将来の課題といえます。
 SMILE療法で用いられるL-アスパラギナーゼは繰り返し使いますと薬に対するアレルギー反応が起こり使えなくなることがしばしばあります。L-アスパラギナーゼはおそらくNK細胞リンパ腫の治療薬としては欠かせない薬で、アレルギー反応が起こったときにどう対処するかも課題です。1つの方法は、アレルギー反応を起こさない他の種類のL-アスパラギナーゼを用いる方法ですが、現在、この薬を保険診療で使うことは認められておりません。個人輸入で使うとなると、高価であることが大きな問題です。

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