NK細胞腫瘍の中ではもっとも多い病気ですが、全悪性リンパ腫に閉める割合は1.85%と,リンパ腫全体から見れば稀です。欧米には少なく、韓国、台湾、中国、日本、中南米に多い。男性に多く、罹患年齢の中央値は52歳です。大部分の症例でEBウイルスが原因と考えられますが、一部の症例(とくに鼻以外に初発する症例)ではEBウイルスは検出されないことがあります。鼻や皮膚、腸管などが初発部位で、しばしば凝固壊死像を伴います。組織学的には、血管周囲ないし血管破壊性に浸潤するという特徴を有しています。腫瘍細胞は核にくびれを有する中型の細胞のことが多いのですが、症例ごとに異なり小型から大型まで多彩な形態を呈します。鼻原発のNK細胞リンパ腫と鼻以外の部位に発生する同様な組織像を有するNK細胞リンパ腫の両者をまとめて鼻型NK細胞リンパ腫と総称しております。鼻に発生する例の方が他の部位に発生する例よりも約5倍も多いです。鼻以外の部位に初発する例では、皮膚、リンパ節、脾、肝、肺の順で病変を認めますが、そのうちどの部位が初発かはアンケートの結果からは判定しにくいようです。鼻原発例の平均生存期間は11ヶ月、鼻以外の部位に発生する例では6.6ヶ月ですが、有意差はありません。
鼻腔および周辺組織に発生する悪性リンパ腫のうち約65 %がNK細胞またはT細胞に由来するため、WHO分類ではこれらの疾患をまとめて鼻NK/T細胞リンパ腫とよびますが、おそらくほとんどがNK細胞由来でしょう。ホルマリン固定標本ではNK細胞とT細胞とを区別することは不可能なため、WHO分類では両者をまとめた名称になっているものと思われます。実際にNK細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫でその臨床像に差があるか否かはまだ分かっておりません。NK細胞をT細胞と区別するには、フローサイトメーターで細胞表面のCD3抗原陰性、CD56抗原陽性を示すことが必要ですが,現実には壊死組織の混入した微量の生検材料で表面マーカー検査が実施できる機会は少ない。遺伝子解析でTCR遺伝子の再構成を認めないことも、診断の確認には必要です。なおホルマリン固定標本を用いた免疫組織化学でCD5抗原が陽性なら、T細胞由来と思われます。
鼻NK細胞リンパ腫では、放射線療法や CHOP療法など従来の治療法は、stage Iで40%、stage IVで10%の長期生存しか期待できません。B症状があると、予後はやや悪くなります。限局期ではアンスラサイクリン系薬物を含む多剤併用化学療法よりも放射線療法の方が奏効するという報告が多いのですが、わが国のアンケート調査では、最初に放射線療法を行った群と化学療法を行った群とでは予後に有意差を認めませんでした。Yamaguchiらによる少数例での治療成績から有望とみられる治療法、すなわち限局期に病変部放射線療法とDeVIC(デキサメタゾン、エトポシド、イホスファミド、カルボプラチン)療法を同時併用するという治療法がJCOG
(Japan Clinical Oncology Group)で始まっています。この件につきましてはあとで述べます。進行すると化学療法に抵抗性で死の転帰をとりますが、L-アスパラギナーゼや同種骨髄移植の有効例が報告されています。 |