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患者さまのための解説 
骨髄/NK前駆細胞性白血病PAGE 1 [2] 3
 
 男性にやや多く、罹患年齢の中央値は39‐46歳です(われわれの調査結果では39歳ですが、 Suzukiらによると46歳)。FAB分類のAML-M0(すなわちミエロペルオキシダーゼ陰性でCD13またはCD33抗原陽性)に該当する白血病のなかのCD7とCD56が共に陽性の急性白血病といえます。正常リンパ球の分化の過程で、リンパ系幹細胞はB前駆細胞とT/NK共通前駆細胞に分化しますが、このT細胞とNK細胞に共通の前駆細胞はCD13やCD33のような骨髄系の抗原が陽性です。本症はこのT/NK共通前駆細胞の白血化と考えられています。つまりCD13やCD33抗原が陽性だが、骨髄系ではなくリンパ系の腫瘍とみなされているのです。ALL‐L2の芽球の形態を示します。白血病として発症する場合とリンパ節、縦隔を主体とする髄外病変から発症し白血化する場合とがあります。急性骨髄性白血病に用いられる化学療法が有効ですが、再発が多く予後は不良です。平均生存期間は17‐22ヶ月です。
前駆NK細胞性急性リンパ性白血病 
 
 男性に多く、罹患年齢の中央値は55歳。 T/NK共通前駆細胞の分化段階からややNK細胞に分化成熟した段階の細胞が腫瘍化したものと考えられています。リンパ芽球の形態を示し、T、B、骨髄系の表面マーカーは陰性で、CD56抗原が陽性。TCRやIgH遺伝子は胚細胞型。リンパ節や肝脾、皮膚に浸潤しやすく、予後は不良で、平均生存期間は23ヶ月です。後述するように、芽球型NK細胞リンパ腫との異同が問題となります。
芽球型NK細胞リンパ腫 
 
 男性に多く、罹患年齢の中央値は47‐52歳。リンパ芽球の腫瘤形成性増殖を特徴です。皮膚原発が多く、経過中ときに白血化します。予後は不良。前駆NK細胞性急性白血病とは、初診時の骨髄・末梢血への芽球の浸潤の有無に違いを認めるだけで、年齢・性・浸潤部位・予後に差を認めず、同じ疾患の異なる病期をみている可能性が強いものと思われます。芽球型NK細胞リンパ腫のうちの CD4陽性例は形質細胞様樹状細胞に由来しNK細胞由来でないことが最近判明しましたが、前駆NK細胞性急性リンパ性白血病にもCD4陽性例があり、これら両疾患のCD4陽性群をまとめてCD4陰性群と比較すると、CD4陽性例のほうが高齢で皮膚浸潤が多く骨髄浸潤と縦隔病変が少ないことから、前駆NK細胞性急性リンパ性白血病も含めてCD4陽性例は形質細胞様樹状細胞由来の腫瘍と考えられ、残りのCD4陰性例にNK前駆細胞由来の腫瘍が含まれる可能性が高いでしょう。
アグレッシブNK細胞白血病/リンパ腫 
 
 女性にやや多く、罹患年齢の中央値は41歳と若年者に多い病気です。形態学的には核小体があるとか核網がやや繊細であることなどからやや未熟な分化段階の細胞に見えますが、成熟NK細胞に発現するCD 94抗原が陽性であるため、成熟NK細胞由来と考えられます。発熱や肝脾腫、リンパ節腫脹を伴いやすく、急激に経過します。平均生存期間は1.3ヶ月と非常に短い。多くの例で、Epstein-Barr (EB)ウイルスが原因と考えられます。後に述べる慢性NK細胞増多症とは初診時に鑑別が難しいことがありますが、アグレッシブNK細胞白血病/リンパ腫の方が若年者に多く、発熱や肝脾腫、リンパ節腫脹を伴いやすいようです。NK細胞に核小体を認め、表面マーカーのCD57やCD11b、C1.7が陰性になりやすいという点も慢性NK細胞増多症とは異なります。
鼻型NK細胞リンパ腫 
 
  NK細胞腫瘍の中ではもっとも多い病気ですが、全悪性リンパ腫に閉める割合は1.85%と,リンパ腫全体から見れば稀です。欧米には少なく、韓国、台湾、中国、日本、中南米に多い。男性に多く、罹患年齢の中央値は52歳です。大部分の症例でEBウイルスが原因と考えられますが、一部の症例(とくに鼻以外に初発する症例)ではEBウイルスは検出されないことがあります。鼻や皮膚、腸管などが初発部位で、しばしば凝固壊死像を伴います。組織学的には、血管周囲ないし血管破壊性に浸潤するという特徴を有しています。腫瘍細胞は核にくびれを有する中型の細胞のことが多いのですが、症例ごとに異なり小型から大型まで多彩な形態を呈します。鼻原発のNK細胞リンパ腫と鼻以外の部位に発生する同様な組織像を有するNK細胞リンパ腫の両者をまとめて鼻型NK細胞リンパ腫と総称しております。鼻に発生する例の方が他の部位に発生する例よりも約5倍も多いです。鼻以外の部位に初発する例では、皮膚、リンパ節、脾、肝、肺の順で病変を認めますが、そのうちどの部位が初発かはアンケートの結果からは判定しにくいようです。鼻原発例の平均生存期間は11ヶ月、鼻以外の部位に発生する例では6.6ヶ月ですが、有意差はありません。

 鼻腔および周辺組織に発生する悪性リンパ腫のうち約65 %がNK細胞またはT細胞に由来するため、WHO分類ではこれらの疾患をまとめて鼻NK/T細胞リンパ腫とよびますが、おそらくほとんどがNK細胞由来でしょう。ホルマリン固定標本ではNK細胞とT細胞とを区別することは不可能なため、WHO分類では両者をまとめた名称になっているものと思われます。実際にNK細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫でその臨床像に差があるか否かはまだ分かっておりません。NK細胞をT細胞と区別するには、フローサイトメーターで細胞表面のCD3抗原陰性、CD56抗原陽性を示すことが必要ですが,現実には壊死組織の混入した微量の生検材料で表面マーカー検査が実施できる機会は少ない。遺伝子解析でTCR遺伝子の再構成を認めないことも、診断の確認には必要です。なおホルマリン固定標本を用いた免疫組織化学でCD5抗原が陽性なら、T細胞由来と思われます。
鼻NK細胞リンパ腫では、放射線療法や CHOP療法など従来の治療法は、stage Iで40%、stage IVで10%の長期生存しか期待できません。B症状があると、予後はやや悪くなります。限局期ではアンスラサイクリン系薬物を含む多剤併用化学療法よりも放射線療法の方が奏効するという報告が多いのですが、わが国のアンケート調査では、最初に放射線療法を行った群と化学療法を行った群とでは予後に有意差を認めませんでした。Yamaguchiらによる少数例での治療成績から有望とみられる治療法、すなわち限局期に病変部放射線療法とDeVIC(デキサメタゾン、エトポシド、イホスファミド、カルボプラチン)療法を同時併用するという治療法がJCOG (Japan Clinical Oncology Group)で始まっています。この件につきましてはあとで述べます。進行すると化学療法に抵抗性で死の転帰をとりますが、L-アスパラギナーゼや同種骨髄移植の有効例が報告されています。
慢性NK細胞増多症 
 
 男女にほぼ等しく発症し、罹患年齢の中央値は55歳です。 CD56またはCD16陽性でCD3陰性の成熟NK細胞が末梢血液中で慢性的に増えます。大部分の症例は無症状、非進行性で、おそらく単クローン性ではなく多クローン性(反応性)のNK細胞増加と思われますが、まれにアグレッシブNK細胞白血病/リンパ腫と似た病態へと移行し死亡します。無症状、非進行例では治療の必要はありません。

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