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多発性骨髄腫とは 
 
 再生不良性貧血は、骨髄の造血能の低下が全血球系に起こった結果、汎血球減少(貧血、白血球減少、血小板減少)の状態を来す疾患です。ただし白血病や骨髄異形成症候群、巨赤芽球性貧血、骨髄線維症、癌の骨髄転移などの他疾患に伴う造血能の低下を含みません。重症、中等症、軽症に分類され、重症度により予後や治療法が大きく異なります。
 
 
 本症は成因により特発性と二次性とに大別されます。90%近くの症例が特発性で、残りの例で推定された原因としては、薬物(クロラムフェニコールなどの抗生剤、解熱鎮痛剤など)、放射線、ウイルス感染(C型肝炎ウイルスなど)、有機溶媒、農薬などがあります。これらの原因は、直接造血幹細胞を傷害するか、あるいは免疫系や造血微小環境に作用して、間接的に造血幹細胞を傷害すると考えられています。少なく見積もって30%、おそらくは半数前後の症例で、免疫学的な機序が造血の抑制に関与していると考えられています。

 また最近の細胞死の研究の進歩から、本症の骨髄中の造血幹細胞はアポトーシスを起こしやすいとか、アポトーシスに関与するFas抗原の発現が多いとかの報告があります。

 一般には、本症は非腫瘍性、非クローン性の疾患と考えられてきましたが、最近の研究では単クローン性の造血を示す例が意外に多いことがわかってきました。一方サイトカインの研究分野では、種々の造血抑制性サイトカインが見いだされつつあり、これらの中のあるものが再生不良性貧血を発症させる原因サイトカインかもしれません。
 
 
 まず汎血球減少症があるか否かをみます。次に骨髄検査(穿刺と生検)を行い、低形成骨髄であることを確認します。さらに、骨髄検査で汎血球減少症を起こす他の疾患がないことを確認します。ときには骨髄異形成症候群の中の不応性貧血との鑑別が紛らわしいことがありますが、染色体異常があると不応性貧血の可能性が高くなります。MRIも骨髄の細胞密度の判定に有用です。

 再生不良性貧血の診断がついたら、次に重症度を決めます。軽症、中等症、重症とあり、重症度分類は治療法の選択と予後の推定に必要不可欠であります。
 
 
 1. 治療の基本方針と治療目標

 本症の治療は、支持療法と原因療法に大別されます。前者は、主な臨床症状である貧血、好中球減少による感染症、血小板減少による出血に対して、それぞれ赤血球輸血、抗生物質やG-CSFの投与、血小板輸血を行うことです。これらの症状の発現を予防することも大切です。例えば、感染症を起こす可能性のある齲歯や痔の処置、便秘に対する軟下剤の使用、軟らかい歯ブラシの使用、血小板機能を抑制する解熱鎮痛剤の使用禁止とかがあげられます。

 原因療法としては、二次性の場合は原因の除去であることは言うまでもありません。特発性、二次性のいずれの場合も、治療法は蛋白同化ホルモン、免疫抑制療法、骨髄移植、サイトカイン療法です。重症度により治療法は異なります。軽症では経過観察のみか蛋白同化ホルモンを使い、中等症ではまず後述するATGを用います。重症では、45歳未満なら同胞のHLAを検査して、HLA一致同胞がいれば骨髄移植を行い、いなければ免疫抑制療法を行います。45歳以上のときは、免疫抑制療法が第1選択となります。

 治療目標は完全寛解にあります。骨髄移植が成功すれば完全寛解が得られます。しかし、免疫抑制療法では血球の回復が不十分のことが多く、しかも発作性夜間血色素尿症(PNH)や骨髄異形成症候群、急性白血病を起こしてくる可能性もあります。

 2. 薬の使い方

(1) 蛋白同化ホルモン

 0.5mg/kgのプリモボランを使用します。3カ月以上続けます。50%の患者で、ゆっくりと造血の回復をみます。血小板は、他の血球ほどの改善をみないことが多いでしょう。6カ月続けても効果がなければ、免疫抑制療法に変更するか免疫抑制療法を追加します。副作用としては、肝機能障害、多毛、ざ瘡、嗄声、浮腫などがあります。GOT、GPTが200を超えたら中止します。肝機能が正常化した後に蛋白同化ホルモンを再開しても肝機能が悪化しないことがあるため、再度試みるのもよいでしょう。

(2) 免疫抑制療法

a. ステロイド大量療法

 20-50mg/kg/dのメチルプレドニゾロン投与で血液学的寛解が得られるとの報告がありますが、以下に述べるATGやCyAよりは治療成績が劣るため、積極的に使用することは薦められません。

b. ATG、ALG(抗リンパ球グロブリン)

 重症、中等症に使用します。ATG(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン)は、通常、1日1回10-15mg/kgを生理食塩液またはブドウ糖注射液500mlで希釈し、12時間以上かけて連続5日間点滴静注します。アナフィラキシー等の過敏症状を起こすことがあるので、使用に際しては、十分な問診を行うとともに、あらかじめ本剤の少量を試験投与すること。過敏症や血清病を予防するために、ステロイドを併用するとよいでしょう。全例で副作用の発現がみられます。主な副作用として、熱感、頭痛・頭重感、発疹、脱力感、下痢、めまい、嘔吐、肝機能障害などがあります。薬物相互作用として、弱毒生ワクチンを接種すると、発病の恐れがあります。

 30-45%の症例に有効です。骨髄移植ではドナー由来の正常造血を認めるようになるのに反し、ATG、ALGの効果はゆっくりで、しかも正常レベルまでの造血能の回復を認めないことが多い。罹病期間が短いほど効果が期待できる可能性が高いので、罹患後1年以内の患者を対象とすることが望ましいでしょう。

c.シクロスポリン

 ATGやALGと同等の治療成績が期待できます。効果の出現には数カ月かかります。もっとも有効な投与量は12mg/kg/dですが、この量だと腎機能障害予防のために頻回の血中濃度モニタリングが必要となるために、6mg/kg/dから開始することが多い。副作用としては、腎機能障害、多毛、耐糖能異常、免疫抑制などがあります。重篤なものでは、高血圧、痙攣発作(低マグネシウム血症のためか)、ニューモシステイス・カリニ感染症があります。

d. 強力免疫抑制療法

 欧米からの報 告では、ATGまたはALGとCyAを併用する強力免疫抑制療法は、各々を単独で使用した場合に比べて、はるかに高い有効性(65-80%)が認められるとのことです。G-CSFを併用するとさらに高い治療効果が期待できそうです。

 これらの免疫抑制療法の大きな問題点として、骨髄移植療法と比べて、急性白血病や骨髄異形成症候群、PNHの合併頻度が高くなることがあげられています。PNHの発症頻度は報告により13%とか57%とか異なっていますが、骨髄異形成症候群と急性白血病の10年間の累積発生率はそれぞれ9.6%と6.6%です。

免疫抑制療法後の再発は約35%にみられますが、大部分の症例は再治療で寛解します。再発群と非再発群とでは予後は変らない。

 3.骨髄移植

 重症の再生不良性貧血が骨髄移植の適応となります。欧米諸国に比べてわが国の骨髄移植の治療成績が優れていることと上述した免疫抑制療法後の白血病等の発生を考えると、45歳以下でHLAの一致した同胞がいれば、積極的に骨髄移植を行うのが望ましいでしょう。

 HLAの一致した同胞が見つからないときの非血縁ドナーからの移植については、最近骨髄移植推進財団からその成績が公表されました。これによると、10歳以下では非血縁ドナーからの移植は積極的に薦められそうですが、それ以上の年齢だとまだ自信を持って薦められるというほどではありません。

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