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多発性骨髄腫の治療の目的は、腫瘍細胞の根絶と合併症の治療と予防にあります。骨髄腫細胞の根絶を目指して、化学療法を行います。
メルファランという薬とプレドニゾロンという薬を併用する治療法がもっとも標準的な治療法ですが、同じように有効な治療法としてMCNUやビンデシンなどを併用する治療法、VAD療法といって、ビンクリスチンとアドリアマイシン、デキサメサゾンを組み合わせた治療法もあります。VAD療法は点滴をくりかえすという治療法ですが、最初はよく効きますが次第に効かなくなってきます。どの治療法を最初に行うかについては、決まった見解はありません。経過を見ながら、無効になったら次の治療に移るというような方法がとられます。ただし、あとで自家移植を行う予定の患者さんでは、VAD療法を行うのがお薦めです。インターフェロンもある程度有効です。
いろいろな薬を試みても無効な場合には、サリドマイドを使うという方法があります。この薬は以前睡眠薬として使われましたが、妊婦が服用すると奇形児が生まれるという非常に危険な副作用があります。このため、国内では製造が禁止された薬です。この薬の使用を国は正式には認めておりませんので外国からの輸入品を使うことになるわけですが、1/3の患者さんに有効です。残りの患者さんでもかなりの人はM蛋白の量が増えない状態になります。ただし長期間続けるにつれて、次第に効かなくなります。本剤には、奇形児が生まれるという重大な副作用sのほかに、眠気、便秘、しびれ、皮疹などの副作用があり、注意深く使うことが必要ですし、また途中で服用をやめたときは残りの薬を回収することも必要でしょう。薬の管理に注意することは絶対に必要です。
この病気は高齢者に多いのですが、若い人では兄弟や骨髄バンクからの同種造血幹細胞移植も可能です。しかし、移植後の副作用も多くその程度も強いために、どのような患者さんで移植が可能かは専門医による注意深い検討が必要です。40歳以下で高リスクの患者さんでは、おそらく同種移植を積極的に考えてもいいのではないかと思います。
65歳ぐらいまでの高齢者では、自家末梢血幹細胞移植が考えられます。自家末梢血幹細胞移植では、化学療法だけの場合と比べて、有意に生存期間を延長できます。最近では、自家末梢血幹細胞移植を2回繰り返すという方法もあります。1回よりも2回の方がやや優れているという報告があり、この報告は信頼できそうです。しかし、必ずしもそうではないとする報告もあります。
高齢者では、兄弟や骨髄バンクからの通常の造血幹細胞移植では抗癌剤投与に伴う副作用が強く出て、そのために亡くなることが多いため、一般にはこのような強い移植は薦められません。ところが、移植前の抗癌剤の量を少なくする骨髄非破壊的移植(いわゆるミニ移植)という方法があり、この方法ですと高齢者にも使えます。まだこの方法がどの程度有効なのかははっきりしませんが(どうもあまり有効ではなさそうという報告がありますが、患者さんの数が少なく、はっきりしたことは言えません)、少なくとも移植直後の重篤な合併症は減らせそうです。
さらに自家末梢血幹細胞移植と同種ミニ移植とを組み合わせて行うという方法も考えられます。まず最初に自家移植を行い腫瘍量を減らしておき、そのあと同種ミニ移植を行うことで腫瘍細胞を根絶しようとする試みです。まだ実験的な治療法ですが、一部の施設では積極的に行われております。近いうちに、多数例についての具体的な成績が報告されるものと思われます。
これらの治療法をどのように組み合わせて使うのがいいかは、専門家にご相談下さい。ただし、まだ結論を出すには早すぎるという治療法が多く、はっきりしたことがいえないというのが現状です。なお各治療法の副作用につきましては、表3をご覧下さい。
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