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当科は非血縁者間骨髄移植・採取認定施設です

順天堂大学 医学部附属 順天堂医院 血液内科


患者さまのための解説 「多発性骨髄腫とは」

多発性骨髄腫とは

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 多発性骨髄腫は、骨髄にある形質細胞という細胞が腫瘍化し、無制限に増殖を続けた結果起こる病気です。

発病の初期には疲れやすい、だるい、体重が減る,感染を繰り返すなどの症状がみられ、続いて骨病変による骨痛(腰痛、肋骨痛など)が起こり、進行しますと慢性腎不全の症状(むくみ、高血圧など)が出てきます。これらの症状は、骨の異常、血液の異常、M蛋白(腫瘍細胞が産生する異常なガンマグロブリン)の産生の3つに分けて理解すると分かりやすいと思います。

腫瘍化した形質細胞が骨を融かしてもろくするような物質を分泌し、これが病的骨折などを引き起こします。脊椎がつぶれて、圧迫骨折を起こします。転んだときに、ふつうなら何でもないのに、簡単に骨折してしまいます。そしてこのような骨は長期間にわたって、痛みを引き起こします。骨が融けますと血液中のカルシウムが増え、意識がボーっとしますし、腎臓にカルシウムが沈着しますと腎臓の働きが低下します。

骨髄にある腫瘍細胞が増えますと、正常な骨髄を破壊して造血能を抑える結果、血液に異常が起こり、貧血や白血球減少、血小板減少を生じます。貧血では息切れや動悸が起こり、白血球減少から感染が起こり、血小板減少から出血が起こりやすくなります。

形質細胞はガンマグロブリン(免疫グロブリン、抗体)を産生します。ガンマグロブリンは外から侵入してくるウイルスや細菌から体を守る働きがありますが、大量に増えた形質細胞(腫瘍細胞)が大量のガンマグロブリン(M蛋白)を産生しますと、血液の粘度が増して、過粘ちょう度症候群が起きて血液がべとべとしてうまく循環しなくなります。尿中に出るベンスジョンズ蛋白(M蛋白の一種)が腎臓に蓄積しますと、腎機能が悪くなります。また、ベンスジョンズ蛋白が変性してできるアミロイドが全身に沈着しますと、心肥大、肝臓や脾臓の肥大、神経障害などが起き、腎臓にアミロイドが沈着しますとネフローゼ症候群や、ひいては腎不全の原因となります。また正常のガンマグロブリンの産生は低下して、感染症にかかりやすくなります。

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どのようなときに多発性骨髄症を疑うか

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 高齢者で腰痛が続き検査で貧血があるときには、この病気を疑ってください。たまたま血液検査で、血液中のガンマグロブリン値が異常に高いことから本症が発見されることもあります。逆に、ガンマグロブリン値が異常に低いときも本症を疑ってください。

血液や尿の免疫電気泳動検査でM蛋白が見いだされ、骨髄検査で形質細胞が増えていれば、診断が確定します。ただし骨髄検査で異常がなくても、骨などの腫瘍の生検から診断がつくこともあります。診断のため、あるいは病気の進行の程度をみるために、表1にあるような検査を行います。

表1 検査項目
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どの程度、病気が進行しているのか

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 診断が確定しましたら、次に、病気がどの程度進行しているのかを判断します。この、進行の度合いを病期といいます。初期の病期1では、ほとんど検査値に異常がなく、異常なガンマグロブリン(M蛋白)の量も少ないのです。しかし、病期が進んだ病期3では、強い貧血とか高カルシウム血症とかがあり、骨は広範囲に破壊され、M蛋白の量も増えます。また、腎臓の働きが落ちていれば、Bという亜分類になります。したがって、初期では病期1A、進行しますと病期3Bというふうになります。この病期は、体の中にある腫瘍細胞の量に比例します。

 一般に、病期1では治療は行わずに経過を見るだけとし、病期2以上で、治療を開始します。

 病気の進行が早いか遅いか、治療が有効なのかそれともあまり効かないのかなどの予後を前もって予測する方法があります。骨髄の染色体検査で13番染色体に異常があるときや血液中のβ2ミクログロブリン値が高いとき、IgAタイプの骨髄腫のときは、予後は悪くなります。このような高リスクの患者さんでは、より積極的な治療が必要になります。

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治療法は

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表2 骨髄腫の治療法

 多発性骨髄腫の治療の目的は、腫瘍細胞の根絶と合併症の治療と予防にあります。骨髄腫細胞の根絶を目指して、化学療法を行います。

 メルファランという薬とプレドニゾロンという薬を併用する治療法がもっとも標準的な治療法ですが、同じように有効な治療法としてMCNUやビンデシンなどを併用する治療法、VAD療法といって、ビンクリスチンとアドリアマイシン、デキサメサゾンを組み合わせた治療法もあります。VAD療法は点滴をくりかえすという治療法ですが、最初はよく効きますが次第に効かなくなってきます。どの治療法を最初に行うかについては、決まった見解はありません。経過を見ながら、無効になったら次の治療に移るというような方法がとられます。ただし、あとで自家移植を行う予定の患者さんでは、VAD療法を行うのがお薦めです。インターフェロンもある程度有効です。

 いろいろな薬を試みても無効な場合には、サリドマイドを使うという方法があります。この薬は以前睡眠薬として使われましたが、妊婦が服用すると奇形児が生まれるという非常に危険な副作用があります。このため、国内では製造が禁止された薬です。この薬の使用を国は正式には認めておりませんので外国からの輸入品を使うことになるわけですが、1/3の患者さんに有効です。残りの患者さんでもかなりの人はM蛋白の量が増えない状態になります。ただし長期間続けるにつれて、次第に効かなくなります。本剤には、奇形児が生まれるという重大な副作用sのほかに、眠気、便秘、しびれ、皮疹などの副作用があり、注意深く使うことが必要ですし、また途中で服用をやめたときは残りの薬を回収することも必要でしょう。薬の管理に注意することは絶対に必要です。

この病気は高齢者に多いのですが、若い人では兄弟や骨髄バンクからの同種造血幹細胞移植も可能です。しかし、移植後の副作用も多くその程度も強いために、どのような患者さんで移植が可能かは専門医による注意深い検討が必要です。40歳以下で高リスクの患者さんでは、おそらく同種移植を積極的に考えてもいいのではないかと思います。

 65歳ぐらいまでの高齢者では、自家末梢血幹細胞移植が考えられます。自家末梢血幹細胞移植では、化学療法だけの場合と比べて、有意に生存期間を延長できます。最近では、自家末梢血幹細胞移植を2回繰り返すという方法もあります。1回よりも2回の方がやや優れているという報告があり、この報告は信頼できそうです。しかし、必ずしもそうではないとする報告もあります。

 高齢者では、兄弟や骨髄バンクからの通常の造血幹細胞移植では抗癌剤投与に伴う副作用が強く出て、そのために亡くなることが多いため、一般にはこのような強い移植は薦められません。ところが、移植前の抗癌剤の量を少なくする骨髄非破壊的移植(いわゆるミニ移植)という方法があり、この方法ですと高齢者にも使えます。まだこの方法がどの程度有効なのかははっきりしませんが(どうもあまり有効ではなさそうという報告がありますが、患者さんの数が少なく、はっきりしたことは言えません)、少なくとも移植直後の重篤な合併症は減らせそうです。

 さらに自家末梢血幹細胞移植と同種ミニ移植とを組み合わせて行うという方法も考えられます。まず最初に自家移植を行い腫瘍量を減らしておき、そのあと同種ミニ移植を行うことで腫瘍細胞を根絶しようとする試みです。まだ実験的な治療法ですが、一部の施設では積極的に行われております。近いうちに、多数例についての具体的な成績が報告されるものと思われます。

 これらの治療法をどのように組み合わせて使うのがいいかは、専門家にご相談下さい。ただし、まだ結論を出すには早すぎるという治療法が多く、はっきりしたことがいえないというのが現状です。なお各治療法の副作用につきましては、表3をご覧下さい。

表3 治療の副作用
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支持療法は

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表2参照

 腫瘍細胞を根絶することはなかなか難しいのですが、腫瘍細胞に対する治療以外に、少なくとも今起きている症状を軽減する、あるいは予防するために、積極的に行うべき治療法がいくつかあります。これを支持療法といいます。

多発性骨髄腫では、いくつかの理由により感染症が起きやすくなります。よく見られるのは細菌感染症ですが、早めに抗生物質を使います。細菌を貪食する好中球の数が少なければ、好中球の数を増やすためにG-CSFという薬品を使います。また、血液中の正常ガンマグロブリンが少なければ、ガンマグロブリンを点滴します。貧血が進行すれば、赤血球輸血を行います。血小板数が極端に減っていれば、血小板輸血を行います。

問題は、骨の痛みです。骨がつぶれたり、あるいは骨折したりで、腰痛や肋骨痛などが起きます。通常の痛み止めも使いますが、痛みがひどい場合は麻薬を使います。その副作用で吐き気や便秘が起こることもあり、同時にこれらの予防薬も使います。最近では、皮膚に貼る麻薬もあります。

骨を丈夫にするために、通常使われる骨・カルシウム代謝薬のほかに、骨を融かす破骨細胞の働きを抑えるビスフォスフォネート製剤が有効です。この薬品には、さらに腫瘍細胞そのものの増殖を抑えるという効果もありそうです。現在さらに強力なビスフォスフォネート製剤が開発中とのことで、今後期待される薬といえそうです。

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日常生活でのアドバイス

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 腰が痛いからといって、必要以上に寝てばかりいますと骨はさらにもろくなり、骨折を引き起こしやすくなります。無理のない範囲で、たえず体を動かすことが大切です。

腎臓の働きを守るには、脱水を避けるとか腎臓に負担のかかる薬を避けるとかの注意が必要です。そのほか、詳しくは表4をご覧下さい。

表4 日常生活でのアドバイス
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